君だけ inar

、 ページ2

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俺が通っているのはそこそこ有名な進学校。

もともとそんなに勉強は得意じゃなかった…けど








一歳上の幼なじみの伊野ちゃんがこの高校に入学したから

俺もあとを追うように受験した。












“伊「大ちゃ〜ん、一緒に帰ろ！」”













そうだ、あの日も…











カンニングを疑われて

もうこの教室に居場所が無くなったあの日。






毎日一緒に帰ってるわけでもないのに

伊野ちゃんは迎えに来てくれた。












頭が良くて優しくて頼りになる伊野ちゃん。

おまけにイケメンだからモテるはずなのに

彼女、いないんだっけ。









たまにいじわるしてくるから

俺もよく仕返したりして。

それが馬鹿みたいに楽しかった。










そんな距離感だから

遠慮なんかしないでなんでも言い合える仲だった。



















“伊「今日元気なくない？…なんかあった？」

有「……ううん、何もないよ？」”











あの日までは。















言えない。

言いたくない。

知られたくない。














弱いもん、俺。

勇気なんて出ないよ。



打ち明けて何になる？

伊野ちゃんに迷惑かけて終わりじゃんか。








強くないから。

本当にやってないのに、それでも

伊野ちゃんに信じてもらえなかったら…って

そんなことばかり考えて。









気づかれないように

いつもより弾んだ声を出して一緒に歩いた。

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