U-17に存在した虚無の番号 Second Games (ページ24)

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Tennis match No.73 ページ24

流石柳生くん。噂には聞いていた程度だけど勘や考察力も他の部分もかなり優れている。とは言っても、よく考えたら分かる話なんだけどそれ言い出せないくらいに酷くなった状態だから結局仲は決裂しているけれど。立っているのがもうやっとになってしまって、奏多に支えられながらベッドに腰を掛ける。今にも気を抜いたら眠れそうな程に精神疲労は大きいけど、だからと言って寝てしまうと本当に期限を守れなくなるから寝ないでおく。心配だという目やら視線が四人分もあると眠れるものも眠れないし。

「…眠らないと後が大変…かな…」

「後、と言うと？」

「…ナタリアはあれでも一般的に強いと言われるテニスプレイヤーだからね。終止符(ピリオド)を打つ前くらいはテニスで決着付けるのも悪くは無いかなって。それで、恐らくは彼女の前には大量の中高生がいる。…この人数で、それを蹴散らすつもりだよ」

「…君って、思ったより物理的な考え方をするね」

それはどういう事だろうか。物理的というよりも、無駄は多いけど手っ取り早くて完膚無きまで…なんてもの、じゃないか。誰に反対されようとも私はもう止まれないし止まらない。それだけ大量に時間を浪費した実感をこの手に握り締めているから。

「奏多、半年だけ一緒にいただけじゃ分からない事なんて沢山ある。一ヶ月ちょっとでも分からない、十数年間過ごしても分からない。…全てはね、私という人間がこの世から去った時に初めて全部を理解できる」

その人を理解できる瞬間はいなくなった時。理解と同時に嫌いだと言い切ってしまう場合も勿論ある。それが私だからこそ、信頼している子達には嫌いだと言われない様にしないといけない。大変だ何だと感じるよりも先に、自分らしくいられるかどうかを考えていた時期があった。そしてこの部屋に妙な空気が流れ始めるもので…私はそろそろ眠気が滲んできた。どうしようか。

「…君達、部屋に戻れそうには無い？」

「できないという事はありませんよ」

「…じゃあ安心を優先でいこうか。そこのクローゼットに確か人数分の布団くらいはあったと思うけど、どうかな」

真っ先に動くのは奏多と永四郎。私としても、プライバシーな問題が発生しない様に二人に頼むつもりだったけど…うーん。どうにもギスギスしている二人の背を見つめながら、白石くんと柳生くんと三人で笑ってしまった。そんなギスギスする程に仲が悪いというのも、私は初めて見た様な気がする。