【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 Ⅳ (ページ9)

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杏樹「先輩を1人で行かせてしまった事も。あの時、アリスで自分がしようとした事も。ずっと苦しんできた。全てを失った気になって追いかけられなかった自分にも、そんな自分と向き合っていく事も…」
柚香「ナル…」

段々と声が大きくなっていく
静かなこの講堂によく響いた
私達はここがバレるかも、という気持ちを捨てて昔の事を思い出して話した

鳴海「俺はもう、あの時みたいに何も出来ない子ども(ガキ)じゃない！この手を放して今までの繰り返しはもうしたくない。諦めたくない。先輩を1人にはしない。俺も…俺も一緒に外に行く…！」

杏樹は柚香先輩の手を引き寄せて、勢いで抱き寄せた
柚香先輩の首元に顔を埋め、すすり泣いた

「ったく。2人共私の事を忘れてるんだから」
鳴海「わりぃ…A…」
「いいけど…。柚香先輩、私も外に一緒に連れて行って」
柚香「Aまで…」

柚香先輩は抱き着いてきた杏樹を離すと私に向き直った

「いいの。神野先生達にはこの学園に残るように言われたけど。私も柚香先輩にはお世話になっているし」
柚香「ごめんね。2人共…」

柚香先輩はまた顔を覆って泣いた

「ねぇ柚香先輩聞いてくれる？私杏樹に告ったんだよ。私達四角関係！」
私はケラケラ笑った
杏樹も柚香先輩も気まずそうにしてるけど私だけ笑ってた
笑わないとやってられないもの

柚香「そっか…。あのAがね…。…っ！？」
鳴海「先輩？」

会話の途中で柚香先輩はハッとして少し上を見上げた

柚香「月が…。またアリスを使って今度は大勢の生徒を…」
鳴海「何言って…」
「まさかテレパシー？」

柚香先輩は頷いた

柚香「今誰かからテレパシーが。ここは志貴とAのお陰で敵の声は入ってこない筈…。志貴の中にはテレパスのアリス石は入っているけれど、この気配は志貴じゃない…」
「「え…」」

柚香「蜜柑に…あの子達に渡した中にテレパスの意志があったわ。あの子達がもし…その石を身体に入れてたのだとしたら…」

先輩はガクッと頭を落とした
どうか蜜柑達が無事な事を祈ることしか出来ない

柚香先輩は何かを決したように顔を上げると勢い余って杏樹の唇を奪った

「柚香先輩！？何を…」

杏樹はずるっと力尽きてその場に倒れこんだ

柚香「ごめん。A…。ごめん。私もう行かなきゃ」
「なんで！？私達2人、柚香先輩に蜜柑、一緒に暮らそうって！」
柚香「ごめん…」

柚香先輩は泣きながら瞬間移動でこの場から消えた