【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 Ⅳ (ページ28)

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志貴「初校長はクローン石が私の中に入ってない事は既に確認済みのようです。無論、入っていたとしてもその時は蜜柑の盗みのアリスを利用する格好の手段としたでしょうが…。しかし何より1番危惧していることは、この件を穏便にすまさない事で、初校長が被害を主張している以上、私が蜜柑の保護者として『不適格』とされ、蜜柑に何等かの影響が降りかかってしまうこと…」

高校長は肉親だし、志貴さんは親代わりのようなもの
所謂保護者として今は蜜柑と接している
もしも今回の事で志貴さんが「不適格」とされれば、今後蜜柑の立場は悪くなるに違いない

志貴さんも高校長も、ここに居る人達も全員がそれだけは避けたいと思っている
やはり私が脳内で巡らせた「私達には意見は求めておらず、既に答えは決まっている」という事だ

志貴「それだけは何としても避けないと…」
高校長「ではアリス石は…」
「返還するということ決まりでしょうね」

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あの場がお開きになり、私は杏樹の家にやってきた
先程の事を話すと杏樹は「だろうね」と一言だけ返した
考えは私と一緒だったようだ

…私達は蜜柑の保護者とは認められていない
だから蜜柑の迷宮棟にも入れないし、柚香先輩や先生のお墓にも辿り着く権利がない

だからこそ志貴さんには保護者で居て貰いたい
…私達の代わりに

セントラルタウンで買ってきた紅茶を淹れながら私は杏樹に問いかけた

「もうすぐクリスマスだね。学園はやっと元通りになってきた。…でも私達は元通り元気にやれるのかな。…私は自信ないよ」

杏樹は柚香先輩が好きだった
だけどその柚香先輩がこの世から居なくなってしまった
例え柚香先輩が先生と付き合っていたとしても、杏樹は柚香先輩を追っていた

…追ったまま柚香先輩は居なくなってしまったから
柚香先輩の記憶が杏樹の脳を占めている

そこに私が入り込める隙間はない
…まだないと言った方がいいかもしれないけど

鳴海「俺が自信ないんだ。どうしてAが無いんだよ」
「…杏樹が振り向いてくれないからだよ」

私は乾いた笑いを零した
途端に杏樹はバツの悪そうな顔をして、俯いた

…違う困らせたかったわけじゃない
ただ私の気持ちが先走ってこんな意地悪をしているんだ

「大丈夫。たとえ杏樹がこの先も柚香先輩の事を好きでも私の好きな人はずっと杏樹だし。それは昔から変わらないよ」
鳴海「Aにはずっと悪い事をしてたな。ごめんな」

紅茶の入ったマグカップを受け取った