【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 Ⅳ (ページ20)

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あの後今井くんと殿内くんの協力で、怪我人の治癒を行った
それでも完治しない怪我人は私と桜野くんで病院へ運んだ

志貴さんは柚香先輩を抱いたまま何処かへ消えてしまった
何処へ消えたのかは予想もつかない

杏樹は蜜柑に声を掛けていて、遠くからだったから何を話していたかは聞き取れなかったけど、口が「ごめんね」と動いていたような気がした

杏樹は大怪我だったので治癒では治りきらず、蜜柑と会話した後に私が病院へ連れて行った

鳴海「A。………ごめん」

私の名前を呼んだ後、かなりの間が空いて一言
それは謝罪の言葉だった

「なんで謝るの？謝る事なんて無いじゃん。…これからきついねぇ。でも頑張らなきゃ」
脳裏を柚香先輩の笑顔が掠める
もう彼女はこの世に居ない

鳴海「俺は…。一体、どうすれば…」
「ゆっくり前に進も。…きっと柚香先輩だって杏樹には前を向いて貰いたい筈だよ」
鳴海「そう、かな」

痛む腕を抑えながら杏樹は俯き気味に答えた
今の杏樹が立ち直るにはかなりの時間を要するだろう
蜜柑もこの先どうなるか分からないし、杏樹を支えられるのは本当に幼馴染の私と岬だけになる

「さ、早く治療しておいで。待ってるから」
鳴海「うん…」

私は杏樹を医師の所へと送り出し、パニックになりつつある病院で1人佇んだ
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喧騒に包まれた病院で1人壁に寄り掛かって黄昏ていた私の頭にそっと手が添えられる
その主を探そうと見上げると杏樹だった

「あ…。おかえり」

その腕には包帯が巻かれており、肩から三角巾を吊るしている
重症もいいとこ…
こんな状態でずっと居たなんて信じられない

鳴海「見た目程悪くないんだ。治癒もしてもらってるし、痛み止めも飲んでるからね。…待っててくれてありがとう。…帰ろうA」

杏樹が居なくなって1人になって放心状態だった私に優しく声を掛けてくれる杏樹
本当は杏樹の方が辛いのに

私は杏樹を連れて杏樹の家前に瞬間移動する

鳴海「ありがとう」
「ううん。さて、何する？手伝うよ」
鳴海「ありがとう。…明日からは忙しくなっちゃうし、今日出来る事は全部したいんだ。こんな腕じゃなければ本当は全部僕一人で出来たんだけど」

杏樹が最近外へ行ったりしていたので、部屋は散らかり気味だった

「じゃあご飯の作り置きと洗濯と、部屋の掃除ね？」
鳴海「あはは。ほんとごめん」

私も杏樹も柚香先輩の事は特に言及しなかった
言及したら今にも泣きだしてしまいそうだったから