【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 Ⅳ (ページ12)

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杏樹は柚香先輩の手を掴んで、自分側に引き寄せた
そして涙を浮かべる柚香先輩を抱きしめた

鳴海「どんなに逃げても俺は追いかけるって決めたから。運命なんかに負けたりしないって証明するために。諦めてよ先輩。俺はもうあの頃のような子どもじゃない。あなたに守られたもうあの頃の俺じゃないっ…！」

「っ…」
私は何年経っても柚香先輩には勝てない
私の方が出会ったのは先だったのに、杏樹が好きになったのは柚香先輩だった

ずっと大好きで先生と付き合った後も諦めてなかった
学園外に出た後でさえ…

それに私が告白した後でさえ…
杏樹は柚香先輩が好きだった

私はなんだか知らないけど涙が溢れた
多分失恋したんだ、今

目の前で泣いている柚香先輩と杏樹を見ながら私は1人泣いていた
1人だけ違う気持ちで泣いていた

岬が肩をぽんと叩いてくれた
まだ私には色々な人が付いてくれている
1人きりじゃないから

志貴「急ごう。もう時間がない。蜜柑を捜し出して今すぐ鍵穴へ…」

志貴さんは私達と一緒に外へ出る事を考えている

志貴先輩がテレパシーのアリスで蜜柑達の居場所が分かるというので、瞬間移動で蜜柑達の所へと向かった

そこには蜜柑、棗、流架がおり、初めて柚香先輩は過去に行った後の蜜柑と会ったのだろう
蜜柑の名前を愛おしそうに呼んだ

柚香「蜜柑！」
先程流した涙をまた流し、柚香先輩は蜜柑の名前を呼んだ

だけど怖くて蜜柑には近寄れなかったのか、そこから動く事はなかった
でも蜜柑は走って柚香先輩に飛び付いた

蜜柑「お母さん！やっと会えた…」

蜜柑も柚香先輩同様、愛おしそうに「お母さん」と呼んだ
2人共抱き合って「会いたかった」と伝えている

蜜柑「いっぱいいっぱい酷い事ゆってごめんな…。ウチ、お母さんと一緒に行く…！ずっとお母さんとおるから…。お父さんの分もお母さんを支えるから…」

蜜柑は柚香先輩の涙を指で拭った

蜜柑「お母さん、もう泣かんでええよ」
柚香「蜜柑…」
蜜柑「ウチお母さん大好き。お父さんも大好き」

あれだけ柚香さんの事大嫌いで、お父さんの素性も分からなくて
自分の母親と父親が学園では忌み嫌われていると知って
本当に辛かった境遇だと思う

だけど過去を見て自分の両親やこの学園の事を知り、現代に帰ってきた
漸く柚香先輩の事を大好きって、先生の事を大好きって言える強さは蜜柑は持っている
絶対外に出たって生きていける