【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 Ⅱ (ページ3)

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鳴海「代わりにこの愛らしい唇を奪うことにしておこうかな～♡」

客席から黄色い悲鳴が上がった瞬間にドガッと鈍い音が響いた
危険を察知した流架が杏樹の顔を思い切り殴っていた

「あはは！」
思わず客席で声を上げて笑ってしまったが、周りの客は杏樹に夢中で気付いていない

流架は急いで逃げ、物語は進む
次にでてきたのは7人の小人達
それと何故か隣にいる棗

あんな衣装をしおらしく着ちゃってどうしたのやら

棗「ニャア」
若干怒り気味のニャアを喋り、棗は舞台から居なくなった

観客はこれもいいよねーとか言ってハマっている人も見受けられる

そしてスーパーかみつき毒々りんごとかいう岬が造ったのだろうりんごが登場する
…杏樹の事だからこれもどうせパクったに違いないけど

白雪姫はりんごに食べられ、永遠の眠りについてしまう

眠りを覚ます方法はたった1つ
王子様のキスのみ

眠り姫は城で白雪姫の代わりに王子を迎えようとするが、王子は道に迷い白雪姫の方に辿り着く

そしてキスシーン

…あれ蜜柑か
ユーリの代わりとはまた荷が重い

キスのフリだけだろうけど…
ちょっと蜜柑が固まった後、顔がどんどん近づいていく
まさか、これ…
杏樹の奴…

唇が重なる直前、電気がヒュッと消えた
そしてナレーションが流れて終幕となった

カーテンコールで出てきた杏樹の顔はやり遂げた顔をしている
勿論拍手を送ったけど、私は若干呆れてた

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「お疲れ」

終演後、舞台裏を訪れると杏樹が片付けの指示を出していた
話しかけると杏樹は私に気づいてくれた

鳴海「A。今年は来てくれたんだ？」
「杏樹が脚本って言うしね。…何があって配役変更になったワケ？」
鳴海「あー。僕のクラスの子が遊びに来てくれたんだけど、お土産にひっつき玉持ってて。で、緞帳のテストの時に緞帳外れちゃって、ライト巻き込んで落下したんだ」

それだけで全ての謎が解けた

「…緞帳の外れて落ちた衝撃と、ライトの熱が加わってひっつき玉が効力を発揮、と。それでユーリも、本物の狩人も、ダメになったわけだ」
鳴海「そゆこと」

…その場に居合わせた初等部生も運が悪いというかなんと言うか
緞帳が落ちなければ、大事にはならなかった筈だし

「それにしても、狩人のセリフとラストシーンのキスはやり過ぎでしょ」
鳴海「えー♡いいと思ったんだけどなー」

これだから杏樹は…

「狩人役一生擦ってやるから」
鳴海「ったく…」

杏樹は本性を見せて苦笑いしてた