【学園アリス】MEVIUS Ⅱ (ページ36)

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柚香「あんたが、あんまり本気だったから
あたしはあんたに本気に、もう一生こたえる事はできないから」

柚香さんは先生を愛し、愛された
もうナルの気持ちにはこたえられない

柚香「あんたの未来をあたしから断ち切りたくて…」

鳴海「お陰で僕はあの日以来、いまだ愛も恋も分からない以前の僕に逆戻りだよ」

グサグサと私を傷つけていく
ナルに気になる人がいた事はずっとわかっていたことだ
我慢するしかない

それでも、ナルが私に「待ってて」と言った事実は変わらない
それだけを信じる

柚香「だめよ、返したらあんたまだあたしを追いかけるから
…恨むなら恨めばいいわ。あの時の事が許せないなら…

今も昔もあたしはあたしのやり方でしか動けないから
あんたがあんたのやりたいようにしか動かないように」

ナルも私もやりたいように動いている
今の言葉ナルにもぐさっときたんじゃないかな

柚香「…ナル。あんたは何で学園にとどまっているの?
あの日の約束を守ってくれてるの?…それとも…」

鳴海「さぁどうだろうね…」

ナルは一体何を考えているのだろう

少し間を置き、柚香さんは息を短く吐いた
地面に小さな巾着袋を置き、志貴さんに寄っていく
そして瞬間移動で消えてしまった

ナルを見つめる柚香さんのなんとも言えない顔が胸を締め付ける

消える寸前にナルが柚香さんの名前を呼んだ声だけが悲しく残った

柚香さんが置いて行った巾着袋を拾い上げるナル
私はそこで立ち上がり、茂みからナルのもとへと歩み寄って行った

「…ナル、それ」
鳴海「A」

私に驚いたようなそれでいて安心したような顔をしている
手元に目をやり、巾着袋を開けて取り出すと
中から色の違う三つのアリスストーンが飛び出てくる

「「アリスストーン…」」

「これで、アリスを皆のもとに返せるね…」
鳴海「そうだね…」

「どうだった…?先輩は」

鳴海「相変わらずだったよ。それにやっぱり蜜柑ちゃんに似ている。
…だけどすっきりしたよ。近くで見守っててくれてありがとう、A」
「…うん。よかった」

難しい顔をしていたナルがようやく笑う

「…ソレ、戻しにいくんでしょう?一緒に行って、早くお家帰ろ」
私はナルの手をとると、瞬間移動をした

アリスを無くしてしまったアリス紛失騒動の被害者の各部屋に
まだ寝ているそれぞれの体にアリスストーンを戻していく

全て回り終わり、ナルの家に帰ってくる
勿論私もお邪魔した