【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 (ページ21)

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ドンドンと叩かれる部屋の扉
本部の追手がとうとう此処に柚香先輩が居るのではと見当をつけたらしかった

柚香「それでもお願いナル。あんたはあんたのやり方で、先生の出来なかった事を継いで、中からこの学園を変えて」

鳴海「やだよ、そんなの」
柚香「あたしにはもうそれはできない。だから、外から学園を変える。外から先生の意志を継ぐって決めたから」

柚香先輩は両目から涙を溢れさせた
これが本当の最後の別れだと言わんばかりに

柚香「あたしや、あんたや、Aみたいな子を、もう出したくない」
岬「鳴海！その人の手を離せ！彼女も逃げないともう追手が…」

何とかドアの前で食い止めてくれていた岬ももう限界が近いらしい
段々と強くなるノック音
いつ踏み込まれてもおかしくない

柚香「ナル。もう離して。今見つかれば、あんた達まで…。ナル！」
「杏樹！」

だけど一向に杏樹は手を離そうとしなかった
それどころか杏樹は柚香先輩にアリスを使おうとしてる

それは柚香先輩も感じ取ったみたいで、柚香先輩のが一枚上手だった
柚香「ダメよナル！」

その瞬間
何かが弾けた

杏樹はその場に倒れこみ、柚香先輩の手には杏樹のアリス石が握られていた

「杏樹！」

倒れ込んだ杏樹に駆け寄り、抱き寄せる
気絶していて意識は無い

柚香「ナル…A…ごめん」
「柚香先輩っ！」

柚香先輩は泣きながら瞬間移動で消え去った
岬も倒れた杏樹を心配して駆け寄った

扉に誰も居なくなったので、その隙をついて追手は大量に流れ込んできた

「あの女は何処だ！」
「そっちもちゃんと見ろ」
「おい！この部屋の住民はお前か！？」

怒り狂った本部のお偉いさんに、岬を差し出し、私は岬のベッドを借りて杏樹を寝かせた

…あの時の柚香先輩の表情は何とも言えないものだった
咄嗟にアリスを盗んだにしては大きすぎるアリス石
だからこそ杏樹が今、気絶しているんだろうけど

必死に弁明をし、この部屋に柚香先輩が居ないと分かった追手達は次を探すべくこの部屋から居なくなった

岬「…意識は？」
「暫く戻らなさそう。…ありがとう、岬。部屋貸してくれて」
岬「仕方ないしな…」

岬も私も柚香先輩の行先には何も言わなかった
多分柚香先輩は学園を出た

もう会うことは無いと思う

…いつか私が杏樹に言った『初校長から守れたらいいね』
まさか柚香先輩に同じ事を言われようとは思わなかった