【学園アリス】幼馴染の鳴海先生 (ページ20)

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「その体中にある火傷みたいな傷。結界を無理に破った時に出来る裂傷火傷じゃないですか？…私は小さな結界も張れるから間違いない」

柚香先輩は俯き、何も答えないまま
その時リン…と携帯の通知が鳴った

ポケットから取り出し、画面を開くと1件の連絡が入っていた
岬とのグループだったので岬も勿論確認している

岬「今、友人から連絡が…。本部で初等部校長が何者かに襲われて、学園中厳戒態勢で犯人を捜索中だって…」

その犯人が柚香先輩なら辻褄が合う
結界破りの裂傷火傷だって…

鳴海「本部の、一部の強い部屋にはとても強い結界が張ってありますよね」
「そこから無理矢理瞬間移動してきたんじゃないんですか…」

柚香先輩はそれでも何も話さなかった
漸く口を開けば謝罪の言葉だった

柚香「ナル、A、ごめん。私はもう学園(ここ)には居られない。もう追手がくるわ。ここにいたらあんた達にも迷惑がかかる。助けてくれてありがとう。もう…行くから」
鳴海「何言ってんだよ。柚香先輩！」
「その傷だらけの身体で、瞬間移動(アリス)使う体力もないんでしょ…」
鳴海「大体何処に行く気で…」

杏樹のその言葉を聞いて私はハッとした
外界…

鳴海「まさか脱走…」

ドアの向こう、廊下側から本部の抜き打ち検査がある事が耳に入ってくる

岬「鳴海、神崎…。外の様子が…」
鳴海「脱走なんて、そんなの出来るわけ…」

柚香「ナル、A。お願いがあるの。あたしがいなくった後、先生が気にかけてたあの子達をお願い。あたしの代わりに…」

部屋を覗きに来た同級生達を岬が何とか食い止め、部屋には私と杏樹、岬が居ることにしてくれている
だけどそれが持つのも時間の問題

鳴海「柚香先輩。何言って…」
柚香「ごめん、ナル。あたし行くから…」

柚香先輩は窓を開けて、窓枠に足をかけた
片足を外に出したところで杏樹が手を掴んだ

鳴海「行かせない。俺も行く！」
柚香「何言ってるの…」

正直言うと思っていた
だって杏樹は柚香先輩の事がどうしようもなく好きだから

鳴海「1人で行かせない。一緒に行く。俺が柚香先輩を守るよ。先生の代わりでもいいから…。俺は柚香先輩の事が好きだよ。ずっと、あの後も変わらず」

だけどその気持ちは柚香先輩には届かなかった

柚香「ナル…。離して」
鳴海「嫌だ」

柚香「あたしにとって誰も、先生の代わりにはなれない。大好きよ、ナル。だからこそ今、あんたの手には縋れない。勿論Aの手にも」