【学園アリス】月夜の蒼月 (ページ32)

今日:20 hit、昨日:24 hit、合計:11,069 hit

Contents(13)＊Z ページ32

「起きろ、悠」
「…ん。…何」

真っ暗な部屋の中
眠りこけていた俺は急に叩き起こされ、眠たい目を擦った

「出かけるぞ。急いで支度しろ」
「…置いてけぼりにしないでもらっていい？」

布団を引き剥がされて俺は仕方なく起き上がった
寝起きでぼーっとする頭をなんとかフル回転させながら、服を着替え部屋にやってきた来客に従った

「こんな夜中に仕事？」
枕元に置いてあった目覚まし時計の針は日付を回っていた
こんな夜中に呼び出されるとなれば仕事以外あり得ない

「行けばわかる」

特に何も告げないまま俺は来客の瞬間移動のアリスによって後にした
次に目に入った場所は、よく見知った倉庫
Zの拠点の一つでここはタダの溜まり場

何故ここに連れられてきたのか俺は瞬時に理解することになる
まだ多少寝ぼけた頭が一気に覚め、状況を飲み込む

視線の先では蓮さんのチームと、対立するように3つの人影がある
身につけているモノはアリス学園の制服
…よく見れば、1人の女の子の裏に俺がずっと探し求めていたAの姿がある

A「悠…」

向こうも俺に気付き、戸惑ったように後ずさる
彼女の口から零れた俺の名を呼ぶ声は震えていた

「A…っ！」

気づいたら俺は走り出し、Aに飛びついた
俺より少しだけ小さい体に抱きつき、Aの首元に顔を埋める

「ずっと…会いたかった…」

俺がずっと探し求めていたAが目の前にいる
夢のような現実に置いていかれそうになる

A「どうして、こんな所に…」

俺がここに居る理由を聞いてくる
…ソレもそのはずで、こんな所に俺が居るとは夢にも思わなかった筈だ

「あの日から…。学園に連れてかれたAを探すためにZに入って…。『蝙蝠』として仕事をこなしてた…。ずっとAに会うために！」

どこから嗅ぎつけたのか、いつの日かZサイドが父さんに連絡をしてきたのを思い出す
Zに居れば学園の情報も手に入ると思い、藁にもすがる思いで所属することになった

A「…ごめん。…探してくれてありがとう。私もずっと会いたかった…」

Aの体を強く抱きしめ、そこにいる事を噛み締める
知らずのうちに流れ出た涙が頬を伝っていく

俺はAから少し距離をとってポケットに手を伸ばした

以前から会えた時の為に準備していた…俺の住所を書いた紙を手帳から切り取る
手帳はアリスの都合上常に持ち歩いているからいざというときに役に立つ