【学園アリス】月夜の蒼月 (ページ17)

今日:16 hit、昨日:24 hit、合計:11,065 hit

｜ページ17

あの後寮の紹介を一通りしてくれ、私は自分に与えられた自室へとやってきた
スペシャルの部屋は本部の部屋よりも広く、居心地がいい
本部においてあった荷物も全て運び込まれており、後は荷解きをするだけ

蜜柑と棗もスペシャルのようで近い所に部屋がある
その為何かあったらすぐに聞ける体勢が整っている
とはいっても今日その二人は任務のようで夜はいないけれど

今日は転入初日で初等部の子達と初対面だった
とても疲れたけれど悪そうな人たちはいなくて安心した

これで性格が悪い人たちの集まりだったら、本部に匿われていた方が安全だったと思うし

暫く荷解きをしていると、部屋の扉がノックされる
…今までと違って誰が訪ねてくるか分からない
面倒だけど、私はすぐに扉を開けた

鳴海「やあ♡」
「ナル…」
鳴海「ちょっと僕とお話ししない？」

ここ数日ずっと会っているナルを部屋に招き入れると、早々に本題に入る

鳴海「今日1日どうだった？」
「疲れた。仲良くしなきゃいけないのが凄く堪える。…けど精一杯やったつもり」
鳴海「そっか♡…Aちゃんが信用できないのは大人だけ？」

私の心を読むような意表の突き方に少し驚いてしまう

「うん…。大人だけはどうしても信用できない」
鳴海「ま、そうだよね。あんな事されて信用できる筈ないよ。僕でも無理だね。…子ども達だけでも信用できるなら僕は一安心だよ」

そういってナルは椅子に座りながら微笑んだ
確か私は学園にされたことをナルに喋った事はなかった
詳細を上の人物から伝え聞いているのだろうか

「ナルは私の事どこまで知っているの？」
鳴海「全ての事は伝え聞いているよ。それにタイムトリップの野田先生からも事情は聞いてる」
「あーのだっちが喋ればそりゃね」

タイムトリップであの日の事を全てみていたのなら、ナルが全てを知っているのも頷ける
私から何も聞かなくとも全てを知る事のできるタイムトリップのアリス
時間を操るアリスとは便利だ

「私は学園に家族を奪われ、連れ去られてここに来た。だから大人は信用できないけど、私と同じように来たくもない学園に来た皆なら心は許せるよ」
鳴海「蜜柑ちゃんと棗くんはどうだった？」
「いい子、だと思う。校長先生やペルソナのお気に入りなのは可哀想だと思ったけど」
鳴海「そう、だね。Aちゃんを本部から出したように二人の処遇も変わればいいんだけどね」

憂いを帯びた表情で告げた彼の言葉を聞いて私は同情した