月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ9)

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美人薄命.3 ページ9

信に届いたのは、Aが護衛していた宮女からの手紙だった。そこには事の顛末の一部始終と、Aが行方不明という言葉が書かれていた。

急ぎ咸陽へと馬を飛ばす蒙恬。
気分良く酒で酔っていた頭も、真っ青になるくらいの出来事だった。

蒙恬「…くそォッ！
…どうしてだ、A……！」

馬で飛ばせば丸二日かかる咸陽までの道のり。
蒙恬は信から報告を受け、その夜から戦を捨てて最小の部下のみ引き連れ、急ぎ咸陽まで馬を飛ばしていた。

確かに、子どもが出来たと言われて
死ぬほど嬉しかった。

ただ何よりも愛しくて、大切な彼女との間に
出来た子どもが嬉しくない筈がない。

きっとAも同じだろう…。
だからこそ、違った時の悲しさを苦しさを

一番近くで受け止めてあげられない自分が
…情けない。

大丈夫だと…慰めて、
そばにいてあげられなくてごめんと…謝って
それで彼女が、ずっとそばに居てくれるなら
喜んで何でもする。

Aを失うことだけは

……耐えられない。

蒙恬「死ぬまでずっと一緒だって！

…約束しただろッ！

…なのに、なんでだ！！」

すでに休まず走り続ける馬も泡を吹き始めてる。
それでも、進むしかない。

はやく、はやくAを見つけないと…

永遠に彼女を失ってしまいそうだった。