月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ22)

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千変万化.8 ページ22

その頃、楽華隊の所へ馬を急がせるA。

A「やっぱり一番心配なのは、…恬」

思い出の中には、女性にだらしない彼しか出てこない。陸仙から聞いた家庭教師の話もそうだった。

だが、こんな大事になってちょっと後悔してる。

…もし、部下の女の子をはべらせて
キスしてる蒙恬がいたら、耐えられない。無理。

その光景に背筋を凍られせて、馬を飛ばすと
問題の火種を巻いた人物を見つける。

⭐⭐

変装しているのをいいことに、
のんきに演習を観戦している陸仙に
ワザとぶつかって、倒れたフリをする。

陸仙「…！…大丈夫ですか？」

A「す、すみません……(くらえ！)」
うるうるな瞳

陸仙「…ッ！！！ズシャーン！///」
(心に雷が落ちる音)

あざとさという武器を覚えた最強の彼女。
うるうると瞳を潤ませて、下から見つめてやれば
案の定、その男は真っ赤になってタジタジになった。

～陸仙フィルター～

時が止まったようなその瞬間、陸仙の中では
恋が始める音楽が脳内に流れ始める。

幼い頃から蒙家にお仕えし、ワガママで
女大好き蒙恬の面倒や裏工作を、
文句も言わずやってきた。

そして、一目惚れしたAと蒙恬が
惹かれ合い、両思いになっていく姿を
一番そばでずっと見ていた。

美しいAに心惹かれる自分を隠せない。
…だが、結局は身分の違いや格の違いだと諦めた。

主君と幸せそうなAの姿は、
見ていて嬉しいが
何分イチャつき過ぎる所が目の毒である。

…昨今、自分も嫁でも貰おうか…と
検討している時の、まさかのこの出会い。

目の前に倒れた、金髪の美女。
うるうると潤ませる瞳を見つめたら、
頭がこの女を離すなとガンガンと鐘を鳴らす。

ゆっくりと手を伸ばすと、
白魚のように白い手が重なった。

陸仙「…(俺、この人と結婚する)」

一瞬で恋に落ちた。
重なった手が離れないのは、きっと彼女も同じ思いでいてくれると信じたい。

真っ赤になった顔で、何を話さそうか、
口を動かそうとした時…

悲しい現実に戻った。

A「陸仙……。今、恬…どこにいるかな？」

ギュウウウウ…とその手を握り潰すほど
締め付けてくるA。
表情は笑っているが、とても黒いものが見える。

陸仙「イデデデデッッッ！！！

手がッ！手が握りつぶさせれる…！！！

て、てか、もしや、A様ですかッ？！

なんでここ、ギャアぁぁぁ！痛い痛い！」

A「…陸仙から昔話なんて
聞かなきゃよかった」怒