月下美人の君【王賁ルート.2】 (ページ3)

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Night Diver.2 ページ3

泣きじゃくった後で、彼女も弱々しかったが、王賁のたくましい腕がその身体を掴んで離さなかった。

A「……んっ！！」

3週間分のキスは、涙で濡れた想いが詰まったものとなった。

王賁「……っ…ずっとこうしたかった。

Aっ……」

A「…賁くん…」

「彼女を傷つけたくない」や「謝らなきゃ」など
お互い会えない期間ずっと思っていた事はあった。

だが、今はその全ては吹き飛んだように

お互いの愛を感じるように、

甘い口付けを繰り返した。

⭐⭐

助けが来るまで、なんとか二人で生き延びなければならない。まず水は濡れた着物は風邪を引くのでお互いに脱いだ。

朱一族の必殺武器に火を燃やす道具があったので、
着物を乾かしながら、暖を取り、

王賁が槍で捕まえてくれた魚を焼いて
二人で食べた。

A「もし、結婚してたら
これが新婚旅行だったかもねー」

王賁「ふざけるな。

こんな下賤な場所で…。
王一族の気品が疑われるぞ」

A「でも、なんとか生きていけそうだし…

見て、星が綺麗…！」

そう言って天を仰げば、ご先祖様達が見守ってくれる輝きは咸陽よりもより自然でその輝きは美しかった。

いつも寝ているような寝台とは程遠いが、
跡継ぎの彼を変な所で寝せるわけにもいかず

なんとかそれなりの野営家を作ってみた。

王賁「お前は……意外と器用だったんだな。

一人でも生きていけそうだ」

A「賁くんほど、器用じゃないけどね。

暖もあるし、
あとは皆見つけてくれるのを待つだけ」

王賁「結構流されてきたからな。
発見するのは、十日はかかるだろう…」

A「大丈夫。アダムがいるから、
三日でこれるよ！」

「三日だと？！」と彼が目を開くと、彼女は森の中に歌いかけた。そうすると、色とりどりの鳥達がAの周り集まる。

A「アダムは鳥の言葉がわかるの。
だから、助けて…っで私達が伝えれば、きっと鳥達が案内してくれるわ」

鳥など…信じられないが
そんな連絡手段があるのは驚きだった。

あの、ナヨナヨした副長か。

王賁「食料、水、着るものは最低限準備しておけ」

そう黒い鳥に伝えたら、べっー！！と舌をだして行ってしまった。
鳥如きに本気を出すわけには行かないが。
副長同様ムカつく鳥だ。

そうして去ってしまったら、

波の音だけが響き、

世界が二人だけのような静かさを感じた。

不可抗力だか、愛する彼女を独占できることは
この上ない幸せだ。