月下美人の君〜外伝〜

【蒙恬×王賁】男の子 女の子.5 ページ5

A「じゃあさ、勝負しよう！王賁くん」ニッコリと笑い、木刀を手にする。
まだ修行中の身。
王騎からの言いつけを守り、武神の力を
コントロールするよう集中する。

王賁 「……面白い。木刀が相手とは…。
俺も舐められたものだな。
勝負に勝ったら今すぐここから消えろ。いいな」

A「わかった。いいよ。
もし私が勝ったらまた勝負してね！」

蒙恬 「A！また無茶ばっかりして…！ 」

A「大丈夫だよ！恬。
槍使い相手と一度手合わせしてみたいの」

そう言ってギリッと刀を握り直す。
王賁もこの二人がいなくなるのなら…と目つきが本気になった。一気に場が緊張した雰囲気に包まれる。

王賁 「……ハッ！」

初めに手を出したのは王賁だった。鋭い突き数々は大人であっても避けるのが至難の技の一振りだった。Aは目を見開き、流れるように回りながらかわす。その動きに一切の無駄がなく、更に距離も詰められるので王賁は動揺し、眉をひそめた。

A「………………(見えた！)」

己の力が開花される。全ての時の流れが鈍く遅くなり、体をどう動かすか、どう切ればいいのか線が教えてくれる。あとは、その線をなぞるだけ。

番陽 「賁様ッ！！！」
王賁 「ッッッぐッ！(動きが早い！)」

蒙恬 「ッA！」

番様の声でAの狙いがわずかに逸れた。
王賁の攻撃を避け、懐に入ってその腹に一本入れたが、王賁も負けじと放った突きが彼女の髪留めを破壊し、ハラハラと長い黒髪が舞い落ちた。

王賁 「なッッ女…だと…／／／」

番陽 「賁様！！お怪我はありませぬか？
無礼者、この方が王家の御子息と知っての狼藉か！」

王賁 「待て、番陽。……下がれ。」
番陽 「しかし、賁様…！」
王賁 「勝負に負けたのは俺だ。…これ以上恥を晒すな。」

「申し訳ございませぬ。」と顔を歪めませて下がる番陽を見て、「(なんかまずいことしちゃったかも…)」と恬に助けてを求めて見つめても、蒙恬はお手上げといった様子で両手を挙げた。

王賁 「…おい女。貴様何者だ。」

蒙恬 「この子は王騎将軍の娘だよ。」

王賁 「王騎の娘だと……」
そう言って私の前に仁王立ちした王賁は、持っていた木刀を奪い取り、

王賁 「女が戦の真似事などするな」と言って、
プイッと反対方向に歩いて行ってしまった。

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