月下美人の君〜外伝〜

【王賁】氷姫との恋.17 ページ39

〜現在〜
論功行賞が終わり、帰ってきた山の民たち

楊端和「…それで、シュンメン。Aの様子はどうだ？」

シュンメン 「まぁ…いつも通りっス(帰り道どっかいっちゃたけど)」


楊端和「前のように平地に関われば、少し心も安らぐと思ったが…」

あの事件以降…笑顔が可愛かったAはニコリとも笑わなくなり、男を極端に嫌いになった。
そのAを見て、姉である楊端和はひとえに妹のことを心配していた。
…例え血が繋がっていなくても、誰に否定されても、あの子は私が守ると決めたのだから。


はぁーと珍しく頭を悩ませている楊端和に、周りの者も気が晴れないか代案を考える。

バジオウ「そういえば、秦王からもらった咸陽の屋敷はどうなっている？」

★

秦王の王座を奪還する為、成蟜の戦いにともに参戦したA。
剣術はバジオウと同格とそれ以上のもので、数々の武勲を上げた。
その折に、珍しく自分から秦王にお願い伝えていたのが、記憶に新しい。


A「秦王 嬴政…。一つ私の願いを叶えてほしいのです。」


政 「…！(はじめて口を開いたな)…申してみよ」


ずっと仮面をつけて、その素顔を最後までさらさなかった楊端和の妹。
一緒に戦った信や壁ですら、その存在を認識出来なかっただろう。
政だけに、さらしたその素顔は楊端和にも劣らない美女であった。


A「……私に、平地の屋敷を与えてください。」


★

楊端和「まさかAから、平地の民との暮らしを望むとはな…」


シュンメン 「ぶっちゃけ、週5日くらいで帰ってきてますけどね……」


楊端和「だが、最近は頻繁に通っているであろう…。」


シュンメン 「なんかトモダチができたっぽいっす。…モウテンとかいう…」


楊端和「まあ、いい……。あの子の笑顔を見ないで、もう何年たつか……」



(私よりも平地の民との交流を諦めてなかったお前だ…。
はやく、また私に笑顔を見せてくれ……。A)

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