携帯 ページ5
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会話も一段落つけば、終電のことを思い出して次こそは帰ろうと思った時、
「⋯あの」
「さっき携帯の充電切れちゃって、良ければなんですけど電話⋯とか貸りれたり、しませんか」
なんて、恐る恐る聞いてくるもんだから
『ふふ、全然いいですよ』
「ありがとうございます!本当すみません、何から何まで。」
申し訳なさそうに言う姿がなんだか可愛らしくて、自然と笑みが零れる。
もう終電逃してもいっか、タクシーで帰ればいいし。
まあ、無駄な出費ではあるけど。
そんな事を思いながら、鞄から携帯を取り出す。
「え、俺?」
通話アプリを開こうとロック画面をタップして、暗証番号を解除しようとした途端に聞こえてきた声。
『えっ?』
「あ、いや⋯。」
パッとお兄さんの顔を見ると、「やべ、」と慌てたように口元を抑えていた。
ん?待って。今この人携帯のロック画見て「俺?」って言った?
わたしの携帯のロック画は昨日きょも美に上がったばかりの大我くんの自撮り。今のが聞き間違いじゃないとしたら、
⋯いやいや、そんなまさか。
この薄々感じていた、違和感の正体ってまさか⋯。
『た、大我くん⋯?』
京本大我だったり、しますか?
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作者名:美虎 | 作成日時:2022年8月24日 21時