遭遇 (ページ27)

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好きな人ページ27

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勇気を出してみたはいいものの、あのメッセージを送ってから5時間が経った今でも既読は付いていないし、勿論返信もナシ。

バ先の事務室で思わずがっくりと肩が落ちた。

あと30分でバイトの時間だけど、いつ返信がくるか気になって気になって仕方がない。

なんなら、返ってくるまで片時も携帯を離したくない。

⋯決して、携帯依存性な訳ではない

うーん、にしてもやっぱり大我くんお仕事忙しいよね⋯。

⋯いやそれはそうだ。

だって今をときめくあの京本大我だよ⋯？

私みたいな小娘に構ってる暇なんて一時も無いに決まってるし、

ほんの5時間返信がこないとか、そんなちっちゃい事で落ち込むとか流石におこがまし過ぎる。

「眉間に皺寄ってるけど」

『ちょ、やめてよ⋯って何で西村？』

いきなり眉間をつつかれたと思えば、そこにはシフト深夜組である西村の姿。

『西村がこの時間とか珍しいね。今日は18時シフトなの？』

｢そー。掛け持ちしてたバイト辞めたからこっちのシフトの時間早めることにした」

『ふーん⋯。西村と被るの初めてだからなんか新鮮かも』

ってそんなことより、そろそろ大我くんから返信きて⋯ないか。

西村にはごめんだけど、今は西村に構ってる暇なんてなくて

どうしよう、なんかもう恥ずかしくなってきたし、送信取消しようかな⋯

なんて思いながら、西村が目の前に居るにも関わらずそっちのけで携帯を眺めていると、

「お前さ、好きな奴とかいんの」

『⋯は？』

思いもよらない西村の問いに自分でも聞いた事のないような間抜けな声が漏れた。

⋯好きな、人。

パッとすぐに思い浮かんだ大我くんの顔。

大我くんのことは勿論好きだけど、私の場合それはファンとしてじゃない。

ここで正直に西村に言ってもジャニーズかよって言われて終わりなのが目に見えてるけど、とりあえず⋯

「好きな人なら、いるよ」

西村の目を真っ直ぐに見つめ、そう答えた。

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