遭遇 (ページ24)

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俺が京本大我だと気付いた後は、最初はそれなりにいい反応をみせた彼女だけどすぐに切りかえて、思い出したように俺に携帯を手渡した。

俺に極力負担をかけないようにしているのか、彼女の優しさと気遣いにただただ感謝する。

彼女から数m離れた所で迷わず樹に電話をかけると、2コール程で聞こえたいつもよりワントーン低い声。

｢…もしもし？｣
｢あ、樹。俺、京本大我だけど｣
｢⋯は？きょも？本当にきょも？｣
｢うん、そう。ごめん寝てた？｣

自分の携帯じゃないから、非通知なのにも関わらず出てくれた樹。

多分、寝惚けてるから誰からの着信か確認せず出たんだな。

これで俺じゃなかった時、どうしてたんだよ⋯、なんて思ったり。

｢んー、寝てた。どしたの？｣
｢寝てるとこ本当に申し訳ないんだけど、終電逃しちゃってさ、迎えに来てくれたり⋯とか｣
｢ん、まあいいよ。きょも、今度絶対飯奢ってね｣

もちろん、快く奢らせてもらうよ。

ね、やっぱり優しいんだ樹は。そりゃ、女の子にモテるはずだわ。

それから、樹に今いるとこの最寄りの駅名を伝えれば、

｢おっけ。30分後くらいにつくから、駅前のバス停んとこで待ってて｣

と言って、そこで電話は切れた。

まあ、彼女が悪用するとは思えないけど一応プライバシーだし、念の為通話履歴を消して感謝を伝えると共に携帯を返却した。

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