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『⋯あの、これよかったら⋯。』
そう言って、彼女が俺に手渡したのは可愛らしい犬のキャラクターが描かれた、一枚の絆創膏だった。
⋯てか、なんで今このタイミングで、絆創膏?
突然のことで理解出来ずにいると、
『⋯腕。血、出てるから』
そう言って、俺の右腕を指差した彼女。
パッと自分の右腕に目を移せば、僅かな傷跡があった。
これ、いつ怪我したんだ⋯?
そういえば、今日お稽古前にあんずと遊んだ記憶があるけど、もしかしてその時のか?
確信はないが、きっとその時にできた傷だろう。
にしても、血が出てるなんてよく気が付いたな。
差し出された絆創膏を有難く受け取ると、普通の絆創膏じゃなくてごめんなさい、と律儀に謝られる。
⋯別にそんなの気にしないのに。
申し訳なさそうに眉を下げる彼女がなかなか面白くて、自然と笑みがこぼれる。
⋯いい子だな。
それが、俺から見た彼女の第一印象だった。
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作者名:美虎 | 作成日時:2022年8月24日 21時