Taiga side ページ21
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京本大我side
Aちゃん 大我くん、今何してますか?
ピコン、と無機質な音が楽屋内に響いて素早く携帯を開いた。
これから雑誌の撮影。今はメンバーと楽屋待機中だよー。なんかあった?
そう送り返すと、すぐについた既読の文字。
思わず、自然と口角が上がる。⋯って、あれだけ言ったのにまた敬語に戻ってるし。
俺はある日、偶然自分のファンの子と遭遇した。
Jrの時から、街中でファンに声を掛けられたりたまたま遭遇したりなんてことは何度かあった。
そりゃあ、16年もジャニーズをしてれば自分のファンと遭遇なんて有り得ない話ではない。
言っても俺は、街中で自分の存在を隠すのは得意な方だから比較的少ない方だと思う。
自分のファンから声を掛けられたら、勿論嬉しいし嫌な気はしないけど、どういう反応したらいいか分からない時もあるから、極力バレたくないというのが本音。
あの日は来月行われる舞台のお稽古帰りだった。
お稽古自体は20時過ぎくらいには終わっていたが、まだまだ練習が足りないなんて思い、三時間ほど自主練をして結局帰路についたのは23時過ぎになってしまった。
ここにこんな店あったんだー、と脇見しながら道を歩いていると、突然肩辺りに襲いかかった軽い衝撃。
前から来る人と衝突してしまった。
すぐに謝罪してきた大学生くらいの女の人は、申し訳なさそうな面持ちで俺を見ていて、
いや、俺も余所見しながら歩いてたしな。
⋯そんなことより、俺が京本大我ってバレてないかな？
バケハは深く被ってるし、マスクもしてる。変装は完璧だと思う。
それでも一瞬心配になるけど、気づいてない様子の彼女。
⋯よし、気付かれる前にさっさと退散しよう
「⋯じゃあ」
『⋯あ、待って』
「え？」
彼女の横を通り過ぎようとすると何故か引き止められる。
もしかして⋯気付かれたか？
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作者名：美虎 | 作成日時：2022年8月24日 21時
