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そんなこんなで、私の大学の話だったり、バイトの話だったり他愛もない話をしながら、足を進めているといつの間にか自分の家の前まで来ていた。
もうバイバイ⋯?もっと一緒にいたかったな⋯。
急に寂しくなって、テンションが落ちてく
でも普通にかんがえて、こうして家まで送って貰えるなんて有り得ない話なんだから。
これ以上望んだら、だめだ。
「Aちゃん」
『は、はい⋯?』
ひとり寂しさと闘っていると不意に名前を呼ばれて、思わず背筋を伸ばす
「連絡先、交換しよ」
『え、いやでも⋯』
「俺、Aちゃんのこともっと知りたい」
ダメかな?なんて、子犬のようなつぶらな瞳で見つめられると思わず俯いてしまった
『私なんかが、いいのかな』
私はただのごく普通な女子大生で、特別可愛くも、美人でもなければ頭もいい訳でもない。
ただただ、平凡で普通の人間。
そんな平凡な人間が、こんな素敵なアイドルと⋯、
大我くんと、繋がっても、これ以上の関わりを持ってしまっていいのだろうか。
「またすぐそうやって自分のこと否定する」
「⋯Aちゃん、俺はAちゃんがいいんだよ。」
「ね?わかった?」
『っ⋯』
躊躇することなく、下から顔を覗き込まれると自然と目と目が合ってあまりの近さにごく、と息を呑んだ。
今まで見てきた中で一番と言ってもいいくらい、優しい顔で微笑んでいる大我くんが確かに、⋯そこにいた。
その笑顔をみた瞬間、私は気づいてしまったんだ。
『⋯私も、大我くんのこともっと知りたい』
大我くんのことが、どうしようもなく好きだって。
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作者名:美虎 | 作成日時:2022年8月24日 21時