贅沢 ページ13
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「Aちゃんは?今日バイト何時まで?」
『今日は0時までです!』
「え、おっそいね。歩き?」
『いつもは自転車なんですけど、今日は徒歩です』
『そっか。⋯なんか前にも言ったような気がするけど気をつけて帰ってね。』
そう言って微笑んでは、お会計の終わった商品が入った袋を手にしてわたしに軽く手を振ると、颯爽と去っていってしまった。
急いで店長の方を見るとそこに店長の姿はない。
助かった⋯、丁度裏に行ってたみたい。
あの状況を見られたら、詳しく教えて!なんて言って根掘り葉掘り聞いてくるに違いない
相手は立派な芸能人。
何がなんでも、大我くんの活動に支障をきたしてはいけない。
⋯大我くんと会ったことは、結衣以外には言わないようにしよう。
それにしても、2回も遭遇してしまうなんて。
こんな奇跡ばっか続いて、わたし本当にもうそろ死ぬんじゃない?
なんて、縁起のないことばっかり考えてしまう。
でも二度も会えるとは思ってもみなかったから、ここだけの話、嬉しさが勝つわけで。
また来てくれたりしないかな⋯、
そんな願いさえも、贅沢すぎる訳で。
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作者名:美虎 | 作成日時:2022年8月24日 21時