spare～もう一つの顔～ (ページ5)

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やっと会談が終わった

お喋りなおじさんだ、こういう仕事は疲れる

優等生とか言われてても

俺のどこが優等生なのか、かっこいいのか

まったくわからない

何より二重人格になるこの病気が

俺をこの先の人生を苦しめるんだ

校長室から出ると今朝喋ったAさんが

ぽつんと寂しそうな顔で校門近くに立っていた

急いで駆け寄ってニコッと微笑むと

Aさんは笑ってくれなかった

「…話したいって言っても…授業ありますし…5分ぐらい話しましょうか？」

それでも何も言わないAさん

何かあったのかは一発で分かった

「…ホンビンさんは、恋したことありますか？」

唐突な質問に一瞬たじろぐ

恋したこと…この病気のせいで恋なんて…

したことなかったな

「…ないよ、24年間生きてて、恋を自覚したことは一度もない」

そんな俺の言葉にAさんは首を振った

「…自覚したことはなくても、胸が疼いたとか、ドキドキしたとかありませんか？」

あまりに声が小さくて頼りない

「…ない、おれ…恋できないんだ」

「恋が。できないの…羨ましい」

小さくでも確実に聞こえた言葉

俺がずっと悩んできたものが羨ましい？

「…わたし、ジョンインに言われたんです、なんでもかっこいいからとかいう理由ですきになっちゃダメだって…それで捨てられたらどうすんの？お前のために言ってんだよって…わたし、軽い女に見られてるんですか？ホンビンさん…わたし、あなたに惚れたんでしょうか？」

頭が一瞬真っ白になった

惚れたのか、、、

そんなこと聞かれるのは珍しくて

ますますこの子に興味がわいた

「…惚れたなら、その分愛してあげるよ…俺は、Aさんと仲良くなりたいしね」

俺の言葉に顔を真っ赤にしたA

「…っ、、それ誰にでも言わないですよね？」

「初めて興味がわいたの、Aさんだけ、あと、呼び捨てで呼んでいい？」

「全然構いません…わたし、タメで話したいです」

さっきとは打って変わって

幸せそうな笑顔に変わったAを見て安心した

ジョンイン…たぶんAのこと好きなんだな…

「…構わないよ、じゃ仕事があるから…今日は早めに終わるから校門で待ってるよ」

「…え！？ありがとう！一番乗りに教室から出て向かうね！」

やっぱ笑顔が似合う

ふとそんなことを思って

ニコニコしてるAに笑いかけた