spare～もう一つの顔～ (ページ21)

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「ジョンインありがとう。もう一回ホンビンさんに会って話し合ってみる。」

「あぁそうしてみなよ。ていうか、会うつったって電話番号も知らないし、約束もしてないんだろ？」

「あ、そうだった…どうしよう。どうすれば会えるかな。」

「うーん…と、あ、あれホンビンさんじゃないか？」

「え？」

ジョンインに言われ、指をさした方を見るとホンビンさんと綺麗な女の人がいた。

え…？ホンビン…さん？

もしかして…彼女さんがいるの？
なんで、そんなこと一言も言ってなかったのに…

「なんで、お前じゃない人といるんだよ？」

「…知らない。ホンビンさんは生まれて一度も恋したことないって言ってたけど…」

「…聞いてみろよ。このままじゃよけいきまずくなるだけだろ。」

「…あんないい感じの雰囲気の二人の間に入れっていうの？無理だよ…わたし、彼女でもないんだしさ…」

ジョンインは困ったような顔をして、ホンビンさんたちの方に視線を向ける。

途端その目が見開かれた。
え…？

何が起こってるっていうの？やめて…
嫌な予感なんて当たらないで…

わたしは少しの期待を込めて、ホンビンさんたちの方に視線を向けた。

そこにはわたしの予感とそっくりな場面が描かれていた。
やっぱり…そんなの、わかってた…

知らない女の人とホンビンさんはキスしてて、誰が見てもお似合いな雰囲気だった。

勝てるわけないじゃん…
はなから恋するのが間違ってたのかな…

「…A、おい、それ以上見るな。」

「…受け止めなきゃ。だって…ホンビンさんはあの人を選んだってことでしょ？」

「そんなの聞かなきゃわからないだろ。おい、人の話聞けよ。」

「…おい。あれ、ホンビンさんこっち見てるぞ。」

「…。」

ホンビンさんはこちらを見て焦ったような顔をしていた。
見られちゃいけないものなら、二人きりでやりなさいよ。

なんで…わたしをわざと悲しませるようなことするの？なんで？

不意に涙が溢れて頬を伝った瞬間、ホンビンさんはこちらへ来ようとしていた。

嫌だ。わたしは会いたくない。

「A！」

遠くでわたしを呼ぶ声。
振り向きたい。でも振り向きたくない。

どうしようもないこの気持ちは、ホンビンさん、あなただけに向かってるのに。