face 18 ページ18
「お目覚めか？お姫様。」
そうやって笑顔で聞いてきたビナ。
まだ…ホンビンに戻らないんだ…
「あの後よく眠ったの？」
「眠れたよ。お前風呂入ってないだろ、体気持ち悪いだろうから入ってこい。」
「ね、ねぇ…ビナ、今日いつもと違くない？」
「なんのことだよ、それにもう行為は終わったんだ、ビナさんって呼べ。」
「そ、そんな…わかった。お風呂はいってくるわ。」
大量のお湯を頭に被りながら考える。
明らかに何かおかしいビナさん。
目は昨日みたいに潤ってて、わたしの目を一切見ない。こんなのおかしい…
わたし何かした？
もしかして心の中で思ってることばれたの？
そんなこと…ない…
「気持ちよかったか？」
「えぇ…でも、やっぱり気になるの…
ビナさん、本当のことを話してください。」
「何がだ。俺は本当のことしか言ってない。」
「じゃあなんで！目を合わせないんですか！」
いつまでも目をそらして悲しそうな顔をするビナさんを見るのももう耐えられない。
お願い…本当のことを言って…
無理やり自分のほうに向かせて、ビナさんの唇に自分の唇を合わせた。
「っ…お、い…さっら…」
「はぁっ…びなっさん…」
思い切り唇を離すと、ビナさんは驚いた顔をして肩で息をしていた。
そっとビナさんに歩み寄ると、ビクッとしたように後ろに後ずさった。
「…本当のことを言ってください。そんな悲しそうな顔。見たくない…」
「…やめてくれよ。」
突然頭上で聞こえた冷たい声に、思わず顔を上げる。
顔を見ると、ひどく冷たい顔をしていた。
「…たった数回身体重ねただけで、思い上がるなよ。俺はお前のなんでもない。お互いの欲求を聞くだけだ。」
そんなのわかってたことだった。
わたしだってビナさんを利用してた。
だけど、なんで。
なんでこんな悲しいの。
「そんな顔したって…手を差し伸べるのは俺じゃない。サラ…もう少ししたらホンビンがやってくる。その時に慰めてもらえ。」
なんの震えもない声でそんな切なそうな顔をして言わないで。
今慰めてもらいたいのは…ビナさん。
あなたなのに…
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作者名：プディン | 作成日時：2016年7月2日 12時
