spare～もう一つの顔～ (ページ16)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:13,587 hit

face 16 ページ16

サラがビナと体の関係を持った？
てことは…俺とサラはやったってこと？

そのことに気づいた瞬間、目の前が突然暗くなる。
次に目を開いたときは俺としての意識はない。

「ホンビン？急にどしたん…」

「久しぶりだな、サラ。」

「え…ビナさん？」

「なんだその顔は。また何かあったみたいだけど」

「ええ…まあ…その、ホンビンが気になる人ができたっていうから、なんていうか、心苦しいんです。好きって早く言いたいんですけど…」

「俺の主人格ね…そいつって結構鈍感なの？サラは結構敏感なのに。」

「やめて…その話は…鈍感よ、かなーり。何度も好きって言ってるようなもんなのに。」

「だから今だってたくさんお酒飲んでるってこと？」

「お酒をたくさん飲めば、ホンビンであるビナさんとまたあんな雰囲気に慣れるかなって思ったからです。ビナさん。わたし…」

「ホンビンじゃない俺でいいなら、今日も付き合ってやるよ。場所は？おまえんち？」

「ホテルに行きましょう。その…でもさっき…ホンビンにビナさんと体の関係を持ってるって言ってしまったの。そしたら…突然ビナさんの人格に変わったから。」

「ホンビン自身の気持ちが、俺に会わせてあげたいって思ったとか？それか…驚きすぎて突然体の中で異変が起こったか。」

「言ってはいけないことだったかしら？」

「そんなことないだろ…言った方がホンビンはお前を意識してくれるんじゃないか？」

「それなら嬉しいです…それならっ…わたし、辛い思いしなくて済むかもっ…」

「お酒が効いてきたかな…おい、泣くな、早くホテル行こう、な？」

「うぅ…ホンビン…好き…」

「わかったわかった、ほら立って」

そのままビナさんに連れられ、ホテルに着いた。
コートを脱いで、椅子に腰掛けると

「なぁ、何やってんの？早く風呂入って、お前が頼んだんでしょ？俺は願い叶えてやってるんだから、お前も気持ちよくしろよ。」

「ビナさん…わかった。」

ビナさんに冷たい声で言われ、まるでホンビンに言われたような錯覚に陥った。

ホンビンならもっと優しいはず…

浴室に行く前に、ビナさんの方を見ると
ビナさんは片方の口角を上げて、聞いてきた。

「もう酔い冷めたか？」

「冷めました。おかげで…」

「ふっ…ホンビンなんか考えないで、俺だけ考えろよ、バカ女。」

その言葉はわたしじゃない人に言ってるように聞こえた。