06*失くしたピアス ページ6
、
他の誰かと一晩を過ごそうが何しようが、
結局私の心はテヒョンに囚われている。
………それでも私が彼に愛されることはない。
昨日のことがあったとしても
当たり前のようにまた1週間が始まって
週末はまたテヒョンの部屋で過ごす。
いつまで繰り返すんだろうか、この生活を。
「……あれ、ない。」
シャワーを浴び終わって
ふと耳を触ってみて気づいた。
…ピアスが、ない。
昨日まではしてたのに。
「えっ…うそでしょ」
精一杯、昨日の記憶を思い返すと
バーに行ってあの男に会うまではあった。
だけど、今日の朝、家に帰ってきたら無かった。
…外した記憶、無いんだけど?
寝ぼけて外すなんて器用な真似できないし。
「(……落とした?それとも、)」
ふと脳裏に過ぎるのは気怠げなあの男。
…いや、まさか。何の為に?
本当はテヒョンにメッセージを返したかったのに
もう、それどころじゃない。
「どうしよう……」
テヒョンに会う時はいつもあのピアスを付けてたのに。
特別高価なものじゃないんだけど、
でもテヒョンが似合うって言ってくれたから。
はぁ…、と溜息を吐いて顔を覆う。
店の場所は覚えてる。
あの男の顔も、声も覚えてる。
「(…仕方ない、もう一度、週末にあの店に行こう)」
まさか私の嘘が早くも本当になるなんて。
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作者名:ただのルート | 作成日時:2024年2月28日 23時