20*要らない ページ20
、
HS「あ、A」
「ホソクさん。お疲れ様です」
壁に背を預けていたホソクさんが
私の姿を見た瞬間姿勢を正す
その困り笑いを見て
この場から逃げたくなったのはどうして。
HS「A、彼氏できたんだって？」
「彼氏？……いません、けど」
HS「そうなの？なんかテヒョンの機嫌悪いからさ、またA絡みなのかって思ったんだけど」
「またって」
HS「ほら、あいつAに一定期間放っておかれると拗ねるし」
……私を放っておいたのは、テヒョンなのに？
仕事終わりで疲弊した脳がズキズキと痛みだす。
「それで私に何が言いたいんですか？テヒョンに構えって？別に避けてないですよ、私は」
HS「A、落ち着けって」
「…テヒョンに、なんて言われたんですか……、」
顔を上げてホソクさんを見れば
私の表情を見て当惑したように彼の瞳が揺れた
なんでそんな目で見るの、私を。
HS「…違う、テヒョンが何か言ったとかじゃない。俺の勝手な判断でAを待ってただけだから」
「そうですか」
はは…、と乾いた笑いが勝手に出た。
何なの、本当、テヒョンは。
私の代わりは見つかったくせにそれでも私を巻き込んでくる。
どうすれば逃げられるの
「でも私にはもう関係ないので」
私がどんな思いで傍に居たと思ってるの
嘘まで吐くほど縛り付けられていた
それでもテヒョンが私を選ばないなら、もう要らない。
テヒョン自身も、彼への感情も。
人の気持ちって有限なんだと、よく分かった
.
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作者名：ただのルート
| 作成日時：2024年2月28日 23時
