スガワラーやめます **

26.気づいてる ページ26

、








「ほらよ」



「…いつの間に！」









例の如く最寄りの公園のベンチに座ってると、岩泉さんが差し出したのはメロンパン。




完全に、前と同じ。









「落ち込んでんの丸わかりなんだよ。これ食って元気出せ」










ぶっきらぼうで率直な言葉に目を見張り、唇を噛む。 本当は少し、思ってしまった。







約束が今日じゃなければ、とか。隣にいたのはスガさんだったかも、とか。自分勝手な感情。




それにこの人を振り回しちゃいけないのに。










「…ごめんなさい、岩泉さん」



「おう」










何がだよ、なんて言及しない優しさと



岩泉さんが持ち合わせる居心地の良さに



甘えそうになる前にメロンパンにかぶり付く。










「岩泉さん、今日はカツサンドなんですね」



「まぁな」









そういえば体育の授業の前に



スガさんと目が合って頭下げたけど



「ごめんなさい」の意だと伝わったかな。










「(…また誘ってもらえるかな)」











モヤッとした言いようない不安が浮かぶと、



それをまるで振り払うみたいに



…私の頭を乱雑に撫でる、大きな手。










「んな顔して、それ美味いのかよ」



「どんな顔してましたか。」



「へのへのもへじに似てたな」



「へのへのっ…！！」











私はなんちゅう顔してパン食べてたんだ。




岩泉さんに撫でられながらパンを一口頬張れば




あったかい大きな手に安心する。なのに、








.








「…スガさん、」



「呼んだ？」










ーー…私の頭は岩泉さんといてもスガさん一色。

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