モブだって可愛いだろうが **

08.モブだって色々全力だ ページ8

、













私はモブだって自覚してる。







雀田さん達にスポットが当たることに異論はない。















「…聞いた？ 昨日、の」














……でも、少しだけでいいから女子扱いをされたい。だなんて、





こんなモテ男の代名詞にそれを聞かれてとっ捕まるだなんて













「聞いた。俺だけだけど」

















モブの人生に、そんな突飛さは要らない。







平々凡々に過ごせるのはモブの特権であり、使命だと思うから。






















「……赤葦、ちょっと」



「えっ…？」



















赤葦の両頬に手を添えて背伸びすると、赤葦も動揺しながらも少し屈んで、










私とは対極的なその端正な顔を近づけてきて








唇同士があと数ミリで─────……
















.










と、言うところでガツン！！！と鈍い音がした。



















「い''っっ……て、」

















赤葦がおでこを抑えて後ずさりした瞬間に、青々とした空が私の視界に映り込んだ。


















「……そういうことだから、私は赤葦を好きにならないし、昨日のことも全部忘れて」


















赤葦の若干涙目の目が、開かれる。









モテ男なんかに私のモブデイズを奪われてなるものか。















「…それじゃ、また部活で」

















私は絶対に、平々凡々なモブ人生を守ってやる。

09.モブだってモテ男は敵→←07.モブだって秘密がある

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す