モブだって可愛いだろうが **

40.モブだって忘れたわけじゃない ページ40

、









「重いっすよね、ドリンクって」



「そうだね」




「頑張ってください！」



「ありが……んぇっ!?」
















爽やかに笑ってそのまま先輩の方に駆け寄る金田一君に口が塞がらない。








神などいなかった。



















「モブに優しくない世界……。」
















もういっそ滅べ。








某天空の城を思い浮かべながら体育館の外にある水道まで足早に進む。と。



























「…あ、A。」




「……赤葦」





「それ持つよ、借して。」




「赤葦……っっ!!」




「いや、握手じゃなくて。」
















最初の1秒は「またお前か」って思ったけどその1秒後に思わず感極まる。






赤葦は平然とカゴを持つ。



















「さすがに重いな。」




「私、いつもよりは軽いと思った」








「…………」



「…………」











「…………ごめん。」



「目を逸らして謝るな」

















その反応余計に惨めだからヤメロ。





赤葦以外いないのを良い事に頭で壁をど突く。

















「え、待って？私ヒロインから遠ざかってない？いよいよゴリラに変身するの？モブゴリラ…!?」





「(発作が起きたか…)」









「モブでゴリラって…。」



「斬新だな」



「じゃなくて。」

















私の反応とは逆にマイペースを貫くモテ男。





この壁のように、あの日のようにど突いたろうか。













.












「あぁぁ白福さん達との距離が………うわっ、」

















壁に額を付けたままの私の顔の真横に手が置かれて、背後の気配に肩が跳ねた。


















「……何すんの。」




「随分と深刻だな」




「そうだよ今後の人生に関わってんだから」














振り向かずに赤葦と壁に語る。





モブでゴリラって人生終了でしかない。



















「俺はどんなAも好きだからどうでもいいよ」





「…………は？」








背後の体温が、声が







「…俺が好きだって言ったこと、忘れてないよな」








やけに熱を持つ。

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