第二百四十二夜 ページ20
廃病院内部を調べて回った結果確かに人の這入ったような気配が幾つか有った
ただそれが毎夜忍び込んでいる犯罪者の形跡なのか、あるいはただの火事場強盗の跡なのかは判然としなかった
異能力で顕現させた小型の懐中電灯で照らせば視界は確保される
だが病院にのし掛かる濃い射干玉の闇が払われる訳ではない
文字通り一寸先は闇、前方を照らせば足下は闇大海に没し、足下を照らせば前方は暗黒の洞である
おっかなびっくり進んでも、捜査を進展させる様なモノは何もない
「これはイタズラだね。帰ろう」
とうとう太宰が飽きて踵を返した
「おい待て、『地道に調査し、検分し、推理する』は如何した。この程度で音を上げて探偵が務まるか。もっと証拠を」
「必要ないよ。これ見て」
太宰が摘まみ上げたのは、暗色のコードだった
両端が床に埋まって消えている
「それは…配線か?」
だとすればかなり新しい
時経て朽ちた病院の内装電線とは明らかに異なり恐らく数ヶ月内に設置されたモノだろう
「この配線を辿ると…」
太宰が配線を手繰りその端を追った
巧みに隠され埋め込まれては居るが竟にその一端に辿り着く
太宰が持ち上げたそれは
「撮影機ですね。誰かがこっそり設置したんでしょう。きっと此所だけじゃなく。やれやれ、依頼人は私達を偽の依頼で呼びつけて、お化けに怯えた国木田さんが泣くのを盗撮してた訳ですか。まったく…悪い奴です」
お前が言うか白鳥
それに…
「お、俺は泣いてない!」
「そうだよねえ。こんな暗いだけの廃墟で怯えるなんて、小学生でも有り得ないよねえ。大体病院の幽霊なんて、居てもきっと気概がないよ。病死でしょう?事故死だったら事故現場に憑く筈だもんね。そんな霊人を取り殺す程の根性もないよ。悪くても精々が未練とか悔恨さ。『死にたくなかったなぁ』とかね。ああやだやだ、折角死ねたのに何を贅沢な」
「太宰…まあ、そのへんで…」
お、怨霊が聞いて居たら如何するのだ
「せめてさ、生者を怨むのならこう、瘦せさらばえた肺病病みの女とかじゃないと。濡れ髪振り乱して怨みを込めて、『あな怨めしや、生者羨ましや、此の暗き淵より救うてたもれェェ、此の苦しみより救い出してたもれエェェ、嗚呼苦し、血が、骨が、肉が、腑が、ア、ア、アァァ』」
「助けてえぇぇっ!!」
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信乃☆(プロフ) - るりるり#さん» そうですね!(…と言いつつ忘れてた人)←うん!番外編でも書きましょうかね!(織田作さんすいませんという心を込めて)← (2016年10月26日 18時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
るりるり# - 今日は織田作の誕生日ですね!!! (2016年10月26日 18時) (レス) id: e07374d69a (このIDを非表示/違反報告)
朱雀 - 信乃☆さん» こちらこそ、リクエストにお答えしていただいてありがとうございました!キュンキュンしました! (2016年10月23日 11時) (レス) id: 7aee5b4952 (このIDを非表示/違反報告)
信乃☆(プロフ) - るりるり#さん» 正直に言わせていただくと私も書いている途中で吹き出しました← (2016年10月23日 9時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
るりるり# - 国木田さんのビビりヤバいですねww ちょっと画面の前で吹き出しました! (2016年10月23日 9時) (レス) id: e07374d69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年10月19日 18時