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第百六十二夜 ページ20

青白い顔で織田作は微笑した



「咖哩が食いたいな……」



織田作は震える指で、コートから煙草を取り出した



のろのろした動きで煙草を口に銜えた



燐寸を取り出したところで、指に力が入らなくなった



太宰が燐寸を受け取り、煙草に火をつけてやった



織田作は目を閉じて、火のついた煙草を吸い込み、満足そうに微笑んだ



煙草が床に落ちた



太宰は織田作の隣に膝を落としたまま、顔を天井に向けて目を閉じた



きつく閉じた唇が小さく震えた



煙草の煙がまっすぐ立ち上っていた



太宰がふと横を見るとAがジイドの側に座っていた



「…君はサクノスケの同僚ではないのか」



まだ少し息があったジイドが掠れた声でAに言った



Aは悲しげに笑い



「彼の同僚ですよ。でも、貴方だけ誰にも最期を見届けて貰えないのは悲しいでしょう」



とジイドの灰色の瞳を見詰めた



ジイドは口の端を歪め



「…とんだお人好しだな。同僚を殺した男の最期を見届けてやるなど」



と微かに微笑を浮かべた



Aも微笑を返し



「…でも、案外彼にとっては悪くない最期だったのかも知れません」



と織田作を見詰めた



その顔はもう生きている人のそれではなかった



「…君は…空間を操る能力を持っているんだな」



Aは驚いてジイドに目を戻す



「…織田作さんに聞いたんですね。えぇ、そうですよ」



「…君とも是非手合わせがやってみたかった」



「もうさっきやったでしょう。まさかもう1人の未来予知能力者の銃撃をかわし続けることになるとは思いませんでしたよ…」



「ははっ…あんなに俺の弾に当たらないのはサクノスケ以外には君だけだよ」



「ふふっ…織田作さんとの手合わせである程度耐性があるのでね」



ジイドは眼前に自分の手を翳し、握った



そして穏やかな笑みを浮かべた



「…ありがとう。サクノスケの同僚。名を聞いてもいいか」



「Aです。夜鳥A」



「夜鳥A…いい名だ。…俺もそろそろ部下達の元へ行かなければ…」



「はい、…私がそちらに行ったら、手合わせしましょうね」



「あぁ…その日が待ち遠しいが、あまり早くこない様にな。サクノスケが悲しむ」



「えぇ…まだ暫くはこの世にいるつもりですよ」



「それは良かった。…それでは…また会おう。夜鳥A」



ジイドは目を閉じて一度深く息を吸い…



永遠の静けさを手に入れた

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 信乃☆   
作品ジャンル:アニメ
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信乃☆(プロフ) - ウイさん» ありがとうございます!アニメの方も二期に入りましたね!それとウイ様の応援を糧に頑張っていきます! (2016年10月6日 22時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - 良いです!良いです!とっても面白いです! 更新宜しくお願いします! 頑張って下さいね! 応援してます! (2016年10月6日 21時) (レス) id: 22b43887b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年10月2日 19時

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