第百五十八夜 ページ16
織田作は殺しをやめてから、その意味を考え続けた
深い意味などないのかもしれない
情報と情報の間のつなぎの台詞に過ぎなかったのかもしれない
だが、その台詞を見ていると、不思議と本をくれた髭の男のことを思い出した
織田作は今になって思う
あの男は、織田作が殺人者だと知っていたのではないか？
知っていて、殺しをやめさせるために声を掛けたのではないか？
くれた下巻のこと、切り取られたシーンのこと、『お前が書け』という台詞のこと
あの髭の男は織田作に『自分で自分を救済しろ』と言いたかったのではないのか
ほとんど疑いもなく、織田作はそう思った
最初に会った時、男は織田作に名乗った
ずっと忘れていたが、つい最近になって織田作は彼の名前を思い出した
男の名前は、夏目漱石
その小説の表紙にあった著者名と、同じ名前だった
「おれは英雄だった」
とジイドは言った
ジイドは戦場にいた
祖国のため、大義のため、隣に立って戦う戦友のため
かつて世界を巻き込んだ大戦の中で数知れぬ勝利を打ち立て数え切れないほどの味方を救った
ジイドは英雄だった
自分は軍人であり祖国を守ること、自分の育った土地で生きる人々のために戦うこと、彼等のために死ぬことが自分の天命だと信じていた
ある戦いでジイドは砦に籠もる六百人の敵をわずか四十人の部下を率いて攻略した
敵をすべて打ち倒し砦を占領した
だがそれは味方本部の計略だった
既にその時本国では和平交渉はほぼ済まされており、敵の要衝を潰して和平後の敵の交通網を奪うという軍幕僚幹部の不義にジイドは利用されたのだ
既に和平後の侵攻でありジイドの砦攻略は戦争犯罪となった
裏切り者のジイド達を討伐するため味方の兵が派遣された
ジイド達は敵の銃火器──�牾タГ陵�霊�瓩噺討个譴新�銃を手に取り、敵の軍服を着て同じ祖国の者達と殺し合った
敵兵の偽物、既に死んだ敵兵の幽霊として
それから彼等は流浪した
そして彼等は軍人であることを証明してくれる場所
_____戦場を求めた
何かの為に戦い、たとえ死ぬことになろうとも自分たちが何者であるかを確かに思い出させてくれる場所を
彼等は戦場を彷徨う幽霊となった
祖国を失い、誇りを失い、ただ敵を求めて戦い続ける荒野の死霊となった
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信乃☆(プロフ) - ウイさん» ありがとうございます！アニメの方も二期に入りましたね！それとウイ様の応援を糧に頑張っていきます！ (2016年10月6日 22時) (
レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - 良いです！良いです！とっても面白いです！ 更新宜しくお願いします！ 頑張って下さいね！ 応援してます！ (2016年10月6日 21時) (レス) id: 22b43887b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：信乃☆ | 作成日時：2016年10月2日 19時
