同期 ページ6
降谷side
店を出て五十嵐達と分かれる。
「歩けるか?」
『……う、ん』
生返事をした凛の肩を支える。
(全くこんなになるまで呑むとは……それほど大切な相手だったんだな)
店を出る前の五十嵐の言葉を思い出す。
“「実は今日凛さんを誘ったのは少しでも気持ちを楽にして欲しかったからなんです……もうすぐ凛さんの同期の命日だから、最近仕事中にも物思いにふけってる時が結構あったんです……」"
"同期"か。
『……んっ、れ、い』
そう言った凛の頬に涙がつたった。
れいとは恐らく1年前に殉職した彼女の同期だという白鳥麗華のことだろう。
自分の事では無いと分かっていながらも名前を呼ばれたのかと思い心臓が跳ねる。
「……」
涙を指で拭った。
(確か凛の家はこの近くだったか?)
凛は"黒田凛"の家と"朝日奈紡"としての家を持っていた。
(一応どちらの家に行くか聞いてみるか)
「凛、送るから家の場所を教えてくれないか?」
周りに聞かれても不審に思われないように問う。
『いえ?』
「そうだ」
「……米花町___」
凛はどちらの家でもない場所を言った。
「……本当にそこなのか?」
『そうだよ、私の大事な人達が居る、私の"家"』
(彼女の家族は全員亡くなっていたはず、そして黒田管理官の家とも違うようだが誰の事を言ってるんだ?……とりあえず行ってみるか)
タクシーに乗り彼女の指定した場所まで行くことにした。
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作者名:エスポワール | 作成日時:2023年5月30日 21時