あの日のこと6 ページ20
電話を切り男を睨む。
『最初から勝たせる気なんてなかったのね』
「……さぁ?なんの事だか」
『制限時間が13時までとか言っておきながら爆発が起きるのは12時40分じゃない!』
「でも、あと10分あるでしょう?」
『10分しかないのよ!』
「まぁまぁ、そんな怒らないでくださいよ」
凛は怒らずにいられるわけないと思いながらもどうにか心を落ち着かせる。
『……でも貴方に逃げ道は無いわ。大人しく私に捕まりなさい』
「そう易々と捕まるわけないでしょう?」
そう言った男がポケットから携帯を取り出しその画面を凛に見せた。
『ま、まさか、それ……』
「そう、爆発のカウントダウンですよ。そしてこのボタンを押せば……爆発します。貴女がそこを動けば私はこのボタンを押します」
『なっ!?』
そう言われ凛はその場から動くことが出来なくなった。
「避難はしているのでしょう?なら大人しく待ちましょうよ」
『……貴方の目的は一体何なの?』
「……さぁ?なんだと思います?」
『……』
プルルルプルルル
男と睨み合っていると凛の携帯が鳴った。画面には麗華の名前が表示されている。
「もしもし?麗華?どうしたの?何かあった?」
『風早から聞いたわ。でももう大丈夫よ。もう皆避難出来たわ』
「……そっか。良かった……。」
『うん。それでね、これから『娘が居ないんです!』』
「え?」
麗華が何かを言おうとした時、別の女性の叫ぶ声が電話の向こうから聞こえた。
『ごめん、ちょっと……あの、どうかしたんですか?』
『む、娘が…ちょっと目を離した間に居なくなってて……』
『もしかしてまだ中に……』
『そ、そんな!?早く探しに行かないと!』
『……お母さんはここで待っててください。私が行きます』
「え!?ちょっ、麗華!?」
『大丈夫です。必ず見つけて来ます』
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作者名:エスポワール | 作成日時:2023年5月30日 21時