あの日のこと 4 ページ18
「どうせ謎だって解けてるんでしょう?」
その言葉で振り向くと男は不気味な笑みを浮かべていた。
『……なぜ私が警察だと?』
「私と賭けをしませんか?貴方が勝てば爆弾を止めて差しあげます。それに貴女が警察だと知っている理由についても教えます。しかし私が勝てば……多くの命が犠牲になるでしょう」
その言葉に凛は男を睨む。
「なぁに、賭けと言っても簡単なことですよ。……私と鬼ごっこをしましょう。鬼ごっこといえば息子が好きだったんですよね〜」
『……良いですよ。私足には自信があるので。』
凛はとりあえず男の言葉に乗ることにした。
「そういうことでしたら鬼は貴女でいいですよね。範囲はこの町全体。そして時間は……あと50分というところでしょうか」
『……5分で捕まえてあげますよ』
「これはこれは、怖い怖い……ま、逃げ切ってみせますがね。それでは私は先に行きますので貴女は1分後にきて下さい」
そう言い男はノロノロ歩きながら人混みに紛れて行った。
(あの態度バカにしてるようにしか見えない……)
1分が立ち男の行った道を進んでいく。
しばらく当たりを捜索していると電話がなった。風早からの電話だった。
(連絡するの忘れてた!)
走りながら電話に出る。
「もしもし?ごめん、連絡するの忘れてた。まだ2人とは合流出来そうにない。それと予想通りさっきの男が犯人だったわ」
『……そうだろうな』
『どうかした?』
『デパートの中を色々調べてみたんだが爆弾が仕掛けられてた。しかも1個や2個じゃない……ざっと17個はあった。もしかしたらまだあるかもしれない』
「17個……」
『ああ……とりあえず警察には連絡しておいたからもうすぐ到着するはずだ』
「……そう。それなら解除するのにそう時間はかからないわね」
『おう。だからこっちの事は心配すんな』
「うん。私も犯人を捕まえたらすぐにそっちに行くわ」
電話を切り時間を確認する。現在は12時20分を過ぎた所だった。
(……大丈夫。あと40分もあるんだもの。爆発物処理班がすぐに爆弾を解除してくれるはず)
そう思いながらも凛は何故だか胸騒ぎがした。
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作者名:エスポワール | 作成日時:2023年5月30日 21時