あの日のこと 1 ページ15
白鳥が話をしている時、凛はあの日の事を思い出していた。
___1年前、7月7日
警察学校時代の同期の命日だったこの日、同じく警察学校時代の同期の白鳥麗華と風早涼真と共に朝からお墓参りに来ていた。
「……いよいよ3人だけになっちゃったね」
『……そうだね』
最初は6人で来ていたお墓参りも年々来れる人が1人また1人と減っていきついに3人になってしまった。
「また来年も3人で来ようね。」
『うん』
「ああ」
「約束、だからね…」
しんみりした空気になっていると黒いゆりの花を配っている男が居るのを見つけた。その男は帽子を深く被りマスクを付けている。いかにも怪しい人物で誰も花を受け取ろうとはしなかった。
3人で顔を見合わせその男に近づく。
『綺麗なお花ですね』
「そうでしょう?庭で育ててるんですけど綺麗に咲いたから皆さんにも是非と思ったんですが怪しいカッコをしてるからかなかなか受け取って貰えないんですよね。1本どうです?」
「怪しいという自覚はあったのか……」
「……では1本だけ」
『この茎に着いているのは?』
花の茎の部分には何やらリボンらしきものが付いていて文字が書いてある。
「ちょっとした謎解きですよ。私は謎解きも大好きでして」
『……そうなんですね』
「…じゃ、僕達はこの辺で……花ありがとうございます」
そう言いその場から離れ昼食をとるため近くにある喫茶店に入った。
「で、これどう思う?」
注文を済ませ頼んだものが到着し、店員が見えなくなったのを確認すると風早が口を開いた。
『……とりあえずそのリボン広げて見ない?』
風早が文字の書いてあるリボンを花から外し広げる。
リボンは思ったよりも長くて色々な字が書いてある。
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3人は文字を見つめこれがなんの意味なのか考える。
『あっ!これって"スキュタレー暗号"になってるんじゃない?』
「あぁ〜!なるほど、確かにそうかも」
「でも今棒状のものなんてボールペンぐらいしか持ってないぞ。ボールペンじゃ細すぎるだろうし……」
『大丈夫、棒が無くても何個か飛ばしで読めるようになってると思うから』
「そっか、じゃあまず1個飛ばしで……」
手分けして手帳に書き出していく。
「……13じやよいでぱあと」
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作者名:エスポワール | 作成日時:2023年5月30日 21時