会いたい ページ11
その後博士の発明品の話から今まで遭遇した事件の話になり大いに盛り上がっていて気がつけば外が暗くなり始めていた。
私と安室さんはちらほら訪れるお客様の接客をしながら時々話にまざっていた。
「あっ、もうこんな時間ですね」
光彦くんが時計を確認した。
「ほんとだ。そろそろ帰ろっか」
「そうだな。明日も学校だしな」
子供達が席を立った。
「今日は色んな話聞かせてくれてありがとな」
「気ぃつけて帰れよ〜」
津田さんたちが子供達を見送る。
「んじゃま、俺達もそろそろ帰るとするか」
「そうだな」
2人も席を立つ。
「じゃ、紡ちゃん、安室ちゃんまたね〜」
「はい。またお越しください」
彼らが居なくなった店内はなんだかやけに静かで少し寂しく思えた。
閉店後2人でお店の片付けをする。
「……なんだかあいつらといると昔を思い出すよ」
ふと安室さんが話しかけてきた。
『あいつらって原さんと津田さんの事ですか?』
「ああ、何故だか同期達と過ごした日々を思い出した。名前もなんか似てる気がするし……」
『……やっぱり、安室さんにとって同期の方たちと過ごした時間は特別ですか?』
「ああ……。色々あったがアイツらと過ごした時間はかけがえのないものだったよ」
安室さんが目を伏せてそう言った。
『…………会いたいですか?』
「会えるならな……。でもまだアイツらのところに行くわけにはいかないからしばらくは無理だろう」
会えるなら、か……。
『……そうですね』
降谷さん、ごめんなさい……。私の、せいで……。
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作者名:エスポワール | 作成日時:2023年5月30日 21時