人魚姫 #Hayato Komori Ⅱ (ページ35)

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Alan side

『きれー……』

天使のようで、はたまた悪魔のようで、そう例えるのが一番な甘辛ファッションってやつをしたA

イルミネーションなんかより何倍も綺麗だし、雑誌に載ってるモデルなんかよりもきっと何万倍も可愛い

俺がバレないように気にしてくれるところも、無邪気に笑うところも全部好き

だからこそ、これ以上一緒にいちゃいけないんだ

Aが隼を少しずつ忘れられてきているのもわかってるし、きっとあと少しでAの心は俺のものになることだってわかってる

でもだからこそ、血が繋がってる俺たちはこれ以上一緒にいちゃいけない、Aを、悲しませてはいけない

本来なら一番混んでいそうなイルミネーションのトンネルはやけに空いていて、俺たちはそこに入った

『ちょっ、なにしてんの』

俺がマスクを外すと、慌てたように言うA

「いやまじ酸素足りねえから」

そこで他愛のない話をして休憩してからまたマスクをつける

今のでもう、恋人は終わり

もう手も繋がないし、キスもしない

もし万が一次があったとしてもそれは兄妹として

心が苦しくなった

もう、Aと触れ合えない

涼太くんが、妹を好きになるって映画やってたけど、はるかはこんなに辛かったんだってことを涼太くんはきっと知らないんだろうな

「隼がさ、猫いなくなったって一回すげえ落ち込んだんだよ」

心の中で涼太くんを思い出しながらもそう切り出した

猫、ねぇ

さすがに俺でもわかったよ、夢の中の話じゃないってことくらい

ファンのみんなにはうまくごまかせたみたいだけど、目の前であんな悲しそうな顔されてただ事じゃないってわかったよ

でも、Aから隼の話を聞いたあの日、すぐにわかった

隼が話していたキャットはAなんだって