人魚姫 #Hayato Komori Ⅱ (ページ31)

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『きれー……』

イルミネーションの場所に向かうともうしでにライトアップされていて身動きできないほどの人で溢れかえっていた

『平気？こんなか入ってくの』

「まあヘーキっしょ、バレないバレない」

なんでそんなテキトーなんだか

ギュって強く私の手を握りなおして人混みに入っていった亜嵐

バレるんじゃないかってハラハラしている私とは対照的にさっきからものすごい笑顔の亜嵐

笑ってる、楽しそう

『よかった、』

「うん？」

『なんでもないっ！』

私が言えばまたニカっと笑って私の横に並ぶ

イルミネーションのトンネルはそこだけ少し空いていて亜嵐がマスクを外した

『ちょっ、なにしてんの』

「いやまじ酸素足りねえから」

なんじゃそりゃ

しばらくそこで話して、またマスクをつけた亜嵐は手をポケットに突っ込んだ

行き場をなくした私の手

もう、繋いでくれない

次つなぐ時は兄妹として

特別寂しいわけではなかったけど、やっぱり少し寂しい気もした

「隼がさ、猫いなくなったって一回すげえ落ち込んだんだよ」

知ってるよ、GENETALKのその回私も聞いてたから

元気を装っていたけどすぐにわかった、私が原因なんだってこと

声が全然元気じゃなかったし、できることなら今すぐ隼に会いにいってあげたいって思った

でもあの時の私は、隼がお兄ちゃんだと思っていたから

「もうさ、しばらくは俺のこと忘れてよ」