人魚姫 #Hayato Komori Ⅱ (ページ27)

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Alan side

「12月25日、11時半から俺Aとここ行くから」

そう言って隼に俺らが行く場所のチラシを見せる

俺は、このデートが終わったらAを妹としてみることができるようになるまで会わないつもりでいた

……なのに、

なんで俺こんなことしてんだろう

隼に教えちゃったらいつ邪魔されるかわからないのに

隼がその気になってしまえば、最後のAと過ごす時間を突然壊されるかもしれないのに

「そうなんだ、楽しめよ～」

とんでもなくぎこちない笑顔でぎこちない声で言うからこっちまでぎこちない笑顔になる

「え、亜嵐くんなにその顔」

そこに通りすがった玲於が俺を蔑むような顔で見た

いや、俺悪くなくないっ？

「これ、クリスマスの日に行くから」

隼からチラシを取り返して玲於にも見せると隼を一瞬だけ見てから興味なさそうな声を出した

「いってらっしゃい」

「おう」

なんか、こんなんじゃない

俺はなにを求めているんだろう

隼がAと結ばれること？

そんなの、嫌だ

でもAが悲しそうな顔をするのはもっと嫌だ

俺は、ただAに幸せになってほしい

Aを幸せにするのが俺じゃなくてもいいから、幸せそうなAの顔を、隣じゃなくていいから見ていたいだけなんだ

俺が求めているのは、ただそれだけのことなんだ