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「ねぇ、A。何か嫌な事でもあったのかい?僕で良ければ話くらい聴くし、根源を教えてくれさえすれば対処だってするよ。…僕達、"友達"じゃあないか」
太宰はふと浮かんだ思考にとても恐ろしくなっていた。…若し、Aが死にたいと思っているのなら?普段此の酸化した世界から逃げ出したいと願う太宰だが、何故だかAが一人逃げてしまうのは嫌だった。Aのいない世界で酸素を吸える気がしない。
嗚呼、之が、こう思えるのが"友達"と呼べる存在なのか。
初めての感覚に太宰は少し戸惑っていた。
「何か勘違いしている様だけど、僕は死にたい訳じゃない。太宰君とは違うから」
「…つい先刻迄Aとの友情について感動していた僕の気持ちを返せ」
「無茶云わないでよ。只、」
「只?」
「真っ赤で綺麗な血が見たいんだ」
「は?」
太宰はAの頭を解剖して中身を覗いてみたかった。勿論心配している。太宰にとってAは唯一無二の存在でこれ程かと言う程に大切な存在なのだから。
真っ赤で綺麗な血が見たい?
太宰はあまりの衝撃に思考回路が可笑しく為っていた。後の太宰はこう語る、「きっと、あの時の僕はAの可笑しな思考回路に感化されていた。其れしか有り得ない」と。
「…拾い食いはしてはいけないって云われなかった?早くペッしなさい」
「拾い食いしてないから。ほら、後ろ」
「後ろ?」
「其のテーブルの上にナイフが在るから好きなの取って斬ってよ。背中以外で」
「一応聴くけど、何で背中以外なんだい?」
「僕から見えないじゃん」
「うわー想像通り過ぎて嫌になってきた」
ぶつくさ云い乍ら太宰は素直に立ち上がる。客人が来ていると云うのに何時まで寝転がっているんだと云う突っ込みをし忘れていた太宰は考える事を放棄していた。そう、之は夢だ。夢なのだ。だから僕は友達であるAの手助けをするんだ。何ら可笑しい事はない。友達を助ける事は正しい事だ。そうだろう?何時だってAは僕の事を助けてくれたじゃないか。其れを僕が夢の中で、変な手伝いをするだけ。
云われるがままに机上に並ぶ刃物達を見た太宰はもう驚かなかった。何本あるんだよ、なんて突っ込みを入れる元気が無かったからだ。適当に近くの刃物を手にした太宰はAの元へ戻りニコニコと笑うAの腕にええい、ままよと刃物を突き立てた。
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プラム(プロフ) - そうなんですね、ありがとうございました! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 30ffb06e00 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - プラムさん» コメントありがとうございます。現在執筆中の場面は太宰さんの年齢を15歳としているので私ではなく僕とさせて頂いております。混乱させてしまい申し訳ありません! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
プラム(プロフ) - あの、太宰さんの一人称は僕ではなく私なのですが… (2018年5月27日 19時) (レス) id: 30ffb06e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緑猫 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...
作成日時:2018年5月26日 18時