晴れのち笑顔 (ページ5)

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＊4 / 宿儺の器ページ5

杉沢第三高校、伏黒くんが特級呪物“両面宿儺の指”を回収しに来ている場所。

明らかに重い雰囲気の校舎を見上げていると、何やら屋上付近で戦闘が起こっているらしく騒がしい。

恵なら大丈夫でしょ、と呑気に言っているけれどふと足が地面から離れ景色が一変する。

「今どう言う状況？」

「五条先生と…Aさん？どうしてここに…」

「や。Aもこっちで任務。終わったから連れてきちゃった。」

「帰り一緒に帰ろうね～。」

と言うかいい加減おろして下さい。

ゆっくりと地面に足を付けふぅと息を吐き、ようやく落ち着いて周りの状況が見れる。まず目に入ったのは…

ボロボロになった伏黒くん。

2年のみんなに見せよう、とスマホのカメラで連写している五条先生を横目に怪我の様子を見る。

「あの、ハンカチ汚れるし大丈夫なんで…」

「怪我人は大人しくしてなよ～、痛いでしょ。」

「…そりゃあ、怪我してますから。」

私も反転術式使えればなと思うけれど、あいにく自分にしか使えない。

「で、両面宿儺の指は？」

沈黙。

しばらくして声をあげたのは伏黒くんと一緒にいたここの生徒であろう男子だった。

それ、俺食べちゃった、と。

「マジ？」

「マジ。」
「マジ。」

声を揃えて言うあたり、本当なのだと思う。じっと彼の顔を見る五条先生はかすかに笑って「本当だ、混じってる。」ときっぱり言った。

混じってる、つまり受肉した？

それで平気なんだと言うことはつまり、彼には器の資質があると言うことになる。

話によると1000年生まれてこなかった、と。

普通の男子高校生が宿儺の器でしたーなんて、運がいいのか悪いのか。

あの子にとったら、確実に不運に転がっているだろう。

“呪い”だとか、“術式”だとか、そんなの持って生まれたって先に待つのは変わらず地獄なのだから。