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怪我してるしいいと断ったものの、そこまでやわじゃないと言う意地をはられふたつある荷物のうち大きく重いほうを持つ恵は無言で斜め前を歩いている。
離れないように着いて行くと、そこには悟さんと話をする虎杖の姿。
これからどうするか決まったらしい。
虎杖のことだからすぐ死ぬことはせずに、宿儺の指を食べて死ぬほうを選ぶとは思ってたけど。
「楽しい地獄になりそうだ。今日中に荷物まとめておいで。」
「? どっかいくの?」
「東京。」
背後から現れた私たちに少し驚いた様子。
「元気そうじゃん!」
「
思うんだったらすごいなぁ…
ぼんやりしながら話を聞いて、ふと恵がまだ荷物を持ったままだと思い出す。
袖を引くと振り向いてくれたので「荷物。」と言うと近くのベンチに置いてくれた。
「ありがと、プリン食べる?」
「…食う。」
「僕の分もあるよね?」
「ん。」
恵と悟さんに持ってきたプリンを渡して、荷物の横に腰掛けてから虎杖に視線をやる。
なにを突っ立ってるんだろ、と見ているとしばらく見つめ合う形になってしまった。
目を逸らそうとすると、向こうが先に口を開く。
「なんか、ちょっと安心した。」
「……なにが?」
「だって御子柴、学校じゃずっとなに考えてるかわかんないし、話しかけたら笑って話してくれるけどなんかこう…うーん……」
こっちを見てないと言うか、どっか遠く見てると言うか。
「表情貼り付けた感じ?」と言う虎杖に、プリンを食べる手を止めてため息をつく。
それを言われると少し困る。
「虎杖に用意したプリン、食べていい?」
「! それは駄目だって!」
「じゃあほらはやく荷造りしてきなよ〜。」
先食べちゃうぞ、と言うと早めに終わらすから!と駆け足でこの場を離れていく。
「…ちゃんと笑えてたら笑ってるもん。」
違和感ある“ちょっと変な笑顔”が都合良かっただけで。
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ぽけこさん - 面白いです!私はつい最近ハマりました←いらん情報 (2020年10月10日 22時) (レス) id: d5ee95d8c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2020年10月6日 0時