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や、と手をあげるその人を見ていると少し懐かしい気持ちになった。
悶々と記憶をたどって、はっと顔を上げる。
五条悟、「悟にぃさん!」と名前を呼んでいた気がする。家が近くて一緒に居る時間が長かったのが…伏黒恵だ。
腕を掴んでいるのが恵、そりゃあ私の名前を知ってるわけだと1人で納得する。
覚えてくれていたことに対する嬉しさと、忘れていたという申し訳なさが同時に襲ってきた。
握る力が弱くなっているところをすっと抜け出し、地面に転がしたままの壊れた日傘を拾う。
見事にバキバキ、術式も作動してない…また買い直しだ。
そのまま鞄も拾って、痛い視線に耐えながら虎杖にあの2人見てくると声かけて校舎に飛び移る。
口実に使って申し訳ない、うん、申し訳ない。
メモ帳を取り出して、持たせた御守りをあげることとしばらくは持っておくことを書いて一緒に握らせる。
そのままなにもありませんでした、と言いたい気持ちになりながら振り返ると3人揃って私をガン見しているのが見えた。
「帰らせてくれないよなぁ…」
めんどくさいなぁ。
しばらく様子を見てから、昇降口に向かう。
靴を履き替えるのと、美術室の鍵を部長の下駄箱に入れるために。そのまま家に戻りたいけどきっと逃げられないんだろうと思う。
仕方なく踵を返して、騒音を耳にしながら元の場所に帰ってくると一悶着あったらしい。
虎杖は気を失っているようだった。
それにしても学校、一晩でこんなボロボロになるとは…
「あ、戻ってきたね。」
「…悟さん。」
「昔みたいに悟にぃさんって呼ばないの?」
「やっぱり五条さんで。」
「は???」
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ぽけこさん - 面白いです!私はつい最近ハマりました←いらん情報 (2020年10月10日 22時) (レス) id: d5ee95d8c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2020年10月6日 0時