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「あのさ、アンタを紹介して欲しいって人もいるんだけど、会ってくれない?」
「え、私に?」
「そ。Aさんは男の子にはモテるでしょ?その子もずっと前から気になってたらしいよ」
「そ、そうなんだ」

玲王以外の男の人とマトモな付き合いをしたことがないのもあって、男子生徒と話をするのもAには無理難題に等しいことであった。
どっち付かずな曖昧な返事をすると「会う気ないだろ」とマナに言い当てられてしまった。

「ま、ま、良い人なのは私が保証するからさ、ちょっと会ってみてくんない?それに、アンタの家とも会社関係で繋がりあるって聞いたし」
「あ……もしかして、菱田くん」
「そうそう!えーなに?やっぱり、二人って許嫁だったりするの?」
「て、てか、マナさん声大きいから!」

菱田、というのは古くからAの父が経営する会社と交流があり、贔屓にもしてもらっている大手企業である。父同士も同級生であり「菱田家の長男とは将来的にも是非仲良くやって欲しい」と父によく聞かされており、許嫁と言ってもあながち間違いではないのかもしれない。
実際に家でも何度か彼とはすれ違ったことはある。その時は会釈する程度であったが、彼がそのように思ってくれていたのは少し嬉しいような気もした。

「ごめんごめん、Aさん揶揄うの楽しくて話が脱線したわ。その話は、ミサが上手くいってからにしよ」
「そうだ、丁度今日、玲王とお昼休みに屋上でご飯食べる日だったから……その、ミサさん、私の代わりに行く?」
「えっ、いいの?」
「うん」

そんなことを思いつきで言ってしまった後で、少しの罪悪感を覚えた。玲王とは、毎週決まった日にお昼休みにご飯を一緒に食べる約束をしている。今日がその日でありながら、別の人を代わりに送るだなんて、確かにマナ達が言うように残酷なような気もした。

「じゃあさ、Aさんは私とご飯食べようよ」
「えっ、マナさんと?!」
「なーに?嫌だっての?」
「いえ、とても、光栄に思います」
「あははっ、なにそれ!急にお嬢様出してくんなし!」

マナにバシバシと肩を叩かれながら、何の違和感もなく溶け込んでいるAの胸には喜悦で満たされていた。今まで玲王の話を聞いて世界を知り、それが自分の世界の全てであると思い込んでいた。だが、違った。本当は自分に見合った居場所が、こうしてここにあるのだ。
きっと、玲王の影にひっそりと隠れ続けて、いつまでも守られてばかりいては、見えなかったものなのだろう。
そう思うと、次第に胸の中にある罪の意識が和らいでいくような気がした。

・→←3.羽を捥ぐ



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設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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黄泉(プロフ) - 七星さん» はじめまして、コメントありがとうございます!またこのお話をお読みくださり、面白いとのお言葉までありがとうございました!🥳 わっかります、むしろ、彼にならどんな手を使っても奪われたいくらいですよね笑 どこかでご縁がありましたら、またお願いします! (2023年2月7日 23時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
七星 - とっても面白くて、一気に読んじゃいました.ᐟどんな手を使ってでも玲王くんなら許しちゃうかもです(笑) (2023年2月7日 22時) (レス) @page34 id: 0897eb2537 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 真昼さん» はじめまして、コメントありがとうございます🙇‍♀️続きが楽しみだと言って頂けてとても嬉しいです!あと少しで完結になると思いますので、どうぞもうしばらくお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m (2023年2月4日 11時) (レス) id: fe076a4b2d (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きが楽しみです! (2023年2月4日 10時) (レス) @page19 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年1月28日 10時

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