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だから、もっと欲しくなる。
ここで縋られて、全てを奪って欲しいと懇願されたい。そんな欲望は、際限なく溢れ出す。
そして、ふつふつと湧き上がる支配と加虐の愛は、どこまでも玲王の身体を蝕み偏愛を生み出した。

「なんか、お前が俺を求めてくれてるってのが、俺にとっては信じらんねぇくらい夢みたいなことでさ」
「これが、夢だと思ってるの?」
「そ。俺はずっと、お前とこうなる夢ばっか見てたしな」
「……夢じゃないよ、玲王。私はここにいる」

そのことを証明するように、Aに頬を触れられて引き寄せられた。彼女の方から、キスをねだったのは初めてのことだった。
まだ稚拙ではあるものの、玲王に教えられた通りに唇を、舌先を求めて蠢いて、やがて二人は隙間もないくらいに密着する。
この熱が現実なのだと知らしめられて、底の無い海の中に堕落していくような心地のまま、互いに身体を預け合った。
その波の中にいつまでも浸っていたいと願いながらAを見つめれば、彼女の瞳が婀娜っぽく細められた。

このまま二人でどこまでも堕落し続けたら、一体どうなってしまうのだろうか。地獄か、それとも天国か。Aがいる世界であれば、玲王にとってはどこもそこは天国だ。
だから、これで良い。これで良かったのだ。

例えば、彼女から婚約者を奪おうとも、彼女に害をなす虫を社会的に潰そうとも、彼女がこの手に堕ちてきてくれるのなら、それで良かった。これから先も、彼女の一番の存在でいるためなら、玲王はどんなことも厭わずに手を汚すのだろう。

失ったものを取り返したいなら、それに協力する。莫大な富であろうと、広大な土地であろうと、彼女が望むのなら何でも手に入れて与えてあげるつもりだ。そうして、彼女をどこまでも堕落させて、救えるのは玲王しかいないのだと何度だって教えてあげる。
あの日、Aが全てを失った時から、二人の足にはお揃いの枷が繋がれていた。

どんなに彼女が逃げようとも、玲王は元から手離す気などなかった。Aの父親の不正も、Aが玲王に対して妬んでいたことも、全て知っている。
そうして、彼女に与えられた道を暗々裏に全部消して、ようやく堕ちてきてくれたのだ。


もちろん、こんなにも彼女に執着して溺れて狂わされていたことは、玲王だけの秘密だ。







______fin.

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設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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黄泉(プロフ) - 七星さん» はじめまして、コメントありがとうございます!またこのお話をお読みくださり、面白いとのお言葉までありがとうございました!🥳 わっかります、むしろ、彼にならどんな手を使っても奪われたいくらいですよね笑 どこかでご縁がありましたら、またお願いします! (2023年2月7日 23時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
七星 - とっても面白くて、一気に読んじゃいました.ᐟどんな手を使ってでも玲王くんなら許しちゃうかもです(笑) (2023年2月7日 22時) (レス) @page34 id: 0897eb2537 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 真昼さん» はじめまして、コメントありがとうございます🙇‍♀️続きが楽しみだと言って頂けてとても嬉しいです!あと少しで完結になると思いますので、どうぞもうしばらくお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m (2023年2月4日 11時) (レス) id: fe076a4b2d (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きが楽しみです! (2023年2月4日 10時) (レス) @page19 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年1月28日 10時

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